《第伍話》撤退

「なぁ、やっぱり行こうぜ。

声かけるだけなら殺されないだろ。

ペトラの方がもっと苦しい目に合ってるかもしれないだろ」



「そ……それもそうだね。

ペトラの事考えたらこんなの大したことないよね。

分かった、僕も覚悟決めたよ。

行こう!!」



覚悟は決まったと言いながらも、流石に2mもある大男を相手に緊張なしではいられなかった。



「なんだお前ら!

ここは軍の施設で、この先立ち入り禁止だぞ!

ここから先一歩でも無断で立ち入ったら銃殺は免れないと思え!!」



「いや、違うんです。

無断で入ろうなんて考えてもないですよ。

ただ、15歳くらいの白髪の女の子を探しているんです。

最近ここら辺で見ませんでしたか?」



「いや、見てないな……

それより、お前ら軍に入る気はないか?」



「それより…………それよりってなんだよお前、親友が何週間も見当たらねぇんだぞ。

それよりってねぇだろ!

これ以上喋ってみろ、お前を殺してやる!!」



「うるせぇガキ!

このmp40(小機関銃)を前にしてまだ喋ろうっていうか!!

よっぽど死にたいらしいな……」



「すいません。

直ぐに家に帰りますから、許してください。

直ぐに帰りますんで……」



そう言ってカールは、レオを引きずりひとまず退散した。



「やっぱり無理みたいだね、この後どうする?」



「このまま諦められるわけないだろ……

あいつの言葉も信用ならねぇ、実際に自分の目で見てみねぇとわかんねぇよ!

だから、俺はあいつにバレないように敷地内に入り込む」



「そんな無茶な……無茶苦茶だよ」



「うっせーよ。

弱気になってたら見つかるもんも見つかんねぇ。

お前行かねぇんなら俺一人で行くから、さっさと家に帰れ」



「行くよ、そんな事言われて引き下がるなんて男じゃないからね。

でも、やっぱりもう一度行くんなら作戦を考えないと……

ただ、むやみに突っ込んでも上手くいかないからね」



「あぁそうだな、何かいい作戦はあんのかよ」



「ちょっと待って、今考えるよ」




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