《第肆話》軍用地

季節は冬。



こんなにも町の建物は崩れ、馴染みのある僕らの故郷にも関わらず、元の状態が思い出せないほどに悲惨な状態にある。



空一面それを嘲笑うかのように、星々が光り輝く。



冬の澄みきった夜空を見ていると、人間同士の争いが醜く、小さく見える。



「なぁカール、今日はどの辺探すか?」



配給で支給されたパンを腹に収めて、仕事終わりのペトラ探しに出かける。



「う〜ん、どうだろ〜ね。

町の中はあらかた探し尽くしたからね、どこを探すか困るな〜」



「あっ、そう言えば街の西の方にある、あの大きな飛行場は調べてないよな!」



「あそこはね、軍の基地だから無断で入る事は出来ないんだ。

残念だけど、あそこは調べることが出来ないよ」



「そんなの行ってみねぇと分からねぇじゃねぇかよ」



《軍の敷地に無断で入ったらどんな事になるか分からない。

最悪銃殺も免れない。

レオが動き出す前に、他のものに興味を向けないと…》



刹那、レオがいきなり町の西の方に向かって、1人で走り出した。



《運動神経は僕とレオ、比べると同じくらいだけど、長距離に関しては不得意ではないけど、レオに負ける!

やばい。急いで停めないと、レオが銃殺されてしまう!》



「お〜い、レオ〜

ちょっと待ってよ! そのまま行ったら銃殺されるぞ。

だから、待ってよ」



「うるせぇ〜、」



《ペトラのためなら、こんなんなんてことねぇ》



だが、敷地の入口に立っている門番を見るなり、レオのこの気持ちは跡形もなく、一斉に粉砕された。



「お、おい、カール」



「はぁ、はぁ、はぁ……なんだよ、レオ。

やっと追いつけた。

ど、どうしたんだよ!」



その2人の前に立っていたのは、2mもあろう大男が2体。



服の上からでも筋肉があるのが分かり、近づこうものなら容赦なく、コテンパンにされそうで、体を動かそうにも動かすことが出来ず、ただ建物の影から見るのが精一杯だった。


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