《第貮話》羶肉

「なぁ、カール。お前、最近いつ肉食べた?

も〜俺我慢できないんだけど……仕事終わったら盗みに行かね〜?」



「え〜僕。う〜ん、5ヶ月くらい食べてないかな〜

えっ、盗みに行くの…僕は遠慮しておくよ。

窃盗をしてまで肉を食べたいほど、僕はまだ飢えてないよ。」



「ちぇっ!なんだよ、カール。もしかしてお前、ビビってんのか?」



「いやっ、まさか…」



《本当は少し怖いってのはあるけどね…》



「まぁ、いいや。さっさと仕事しようぜ!」



《レオが話振ってきたんじゃないか…まぁ、いいっか》



この時、レオとカールは何気なく会話していたが、これは危惧するべき事態だ。



ここは仕事場。死体洗いの仕事場。臓物がそこら辺に転げ落ちてる血なまぐさい仕事場だ。



人の死骸が山積みになっているこの場で、人の死体を焼却炉で燃やし独特な刺激臭のするこの場で、平然と肉の話をするこの2人の子供は異常なくらい異常なのだ。



だが、この2人の子供は自分の心の変化に気づいていない。



元から存在したかのように、それが本当の自分であるかのように、話をしていたのだ。



「そういえば、ペトラはどこ行ったのかな?」



「あ〜そうだな。さっき亡骸が積まれてる荷台をこっちに持ってくるって言って、そのまま帰ってきてないな。」



そのレオの話の最後と同時に、近くの今にも崩れそうな大きな家が、地響きを起こしながら、大きな音をたてながら崩れていった。



《嫌な予感がする》



2人は慌てて崩れた家に向かった。




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