ボクタチの戦争日記
琥珀kohaku
《第壱話》ボクらのご馳走
「レオ〜、ペトラ〜、お〜い」
いつもの事だが、朝9時に広場で始まる配給で今日を生きるための食料を調達する。
空から鉛が落ちてきて街が崩れる事に、治安が悪くなっていくのは言うまでもない。
ボクら子供は日に日に立場が無くなってくる。
「今日の配給上手くいったか!?」
レオがそう言いながら、カールの呼び掛けに気づいたようで、幼なじみのペトラと一緒にやってきた。
「あぁ、今日はなんとかやれたよ!!」
「それは良かった。私たちはパンと牛乳の両方、取ることができたわ。」
「それはすごいや…2人は運がいいね。僕なんか、パンを取るので精一杯だったよ…」
「良かったら牛乳別けるわよ?」
「いや、悪いからいいよ。君たちが勝ち取ったものじゃないか…」
「カール…何くさい事言ってるんだよ!
俺の分も貰ってくれ!!」
「2人とも…」
「ありがとう…本当に…ありがとう…」
9時と6時の1日2回配給が行われる。
だが、当然と言えば当然なのかもしれないが、配給される食料と市民の数が全くと言っていいほど合っていない。
合わなすぎだ。
食料を確保することができるのは、おおよそ市民の4割といったところだろうか。
政府も腐ったもので、いつ死ぬか分からない国民に対して、大した食料を与えないのだ。
「クッソ!政府も政府で役立たずばっかだな!!
少しは俺たちのことも考えろっていうんだ!」
「レオ…そんな事言っても無駄だわ…
あいつらは戦争の事しか考えてない無能集団だもの…」
「それは言い過ぎじゃないのかな…ペトラ…
って言っても事実っちゃ事実なんだけどね…
今に始まった事じゃないから、もういいんじゃないかな…」
「それもそうね…
早く食べて仕事に行きましょう。」
「おぅ!そうだな!!」
死臭漂う街で、子供3人今日も食料にありつく…
その異常な光景を普通だと思ってしまうボクらの心は少しずつ、自分でも気づかないほどゆっきりなスピードで崩れていくのだった。
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