第3話

私のところに、新たな謎がやってきました。同じ大学出身の女友達からの相談です。彼女は、今は図書館に勤務しています。


彼女は大学時代、面食いで有名でした。


大学時代の同じゼミの友人A君とは、今年になってたまに、夜ごはんを一緒に食べに行く仲になったそうです。


しかし、彼が彼女持ちか否か不明なので、私に判断して欲しいというのです。好意がバレるのが嫌で、彼女の有無を本人に聞くのは嫌だそうです。


「どういう状況か知りたいから、判断材料になりそうな事柄、いろいろ教えて!」

私はカフェで彼女にそう言いました。


彼女はココアを飲みながら、いろいろ話してくれました。

「彼の方からお誘いの連絡は頻繁に来る。けど、2時間飲食したら、もう夜だし、送って行くよって言われるの。あと、好きな芸能人を聞いたら、子役出身の女優、二階堂美々がめちゃくちゃタイプらしいわ。ちょっと私に似てるよね!テンションあがっちゃった。


ちなみに、彼のスマホの待ち受けも二階堂さんだったよ!


彼は和歌山出身の公務員で、特別おしゃれじゃないけど、素朴で素敵な感じかな。美男子ってわけじゃないけど、内面が素敵なの!」


「ふふーん。二階堂美々って関西出身で、子役時代は、たくさんドラマ出てたよね!私達の世代の青春スターって感じ。


今は夜の報道番組に出てるよね。私も番組よく見てる。彼女、確かにあなたに雰囲気が似てると思う。


私の推理だと、彼はあの22時の報道番組を見るのが趣味で、早く帰ったのかもね。


あの番組さえ見れば、世の中の情勢が分かりやすいし、気軽に、勉強になるからね。二階堂も麗しい美人で眼福だし、一石二鳥だし。


A君、芸能人にのぼせてるってことは、彼女いないんじゃないかな?A君の方からあなたに連絡も来るんだしさ。」


「ありがとう!ゆうこに相談して良かった。」

彼女は花が咲いたような笑顔でカフェを後にしました。


聡明な読者の皆さんはどう思いましたか?A君に彼女はいると思いましたか?


一ヶ月後、私は例の女友達と、またカフェでおしゃべりする機会がありました。


「今回は、いくら推力力のある探偵でも推理を外したでしょうね。だから、ゆうこも気にしないでよ。ちょっと今回はびっくりしちゃった。」


「A君彼女いたの!?」


「うん。実はA君から絶対に内緒にしててねって、言われてるんだけど、A君と二階堂さんって、小学校時代のクラスメイトで、今年になってからお付き合いしてるんだってさ。


二階堂さんと行く洒落たレストランの下見をするために私と食事をしていたらしい。」


私は驚きと落胆と嬉しさの混じった不思議な気持ちになりました。


シャーロックホームズは「全ての不可能を除外して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる」と言っていました。


今回は、まさしくこれでした。勉強になりました。生きていたら、たまに驚くべき真実に出会えます。


二階堂さんは華やかな男性を見慣れ過ぎて、A君みたいな男性が大好きだそうです。


A君は図書館勤めの彼女とは、完全に友達関係だと認識していたそうです。図書館勤めの彼女は、面食いですしね。




図書館勤めの彼女は、二階堂さんとA君カップルから、今度、双子の弟を紹介してもらう予定で、近いうちに梅田で食事会をするみたいです。

(二階堂さんは双子だそうです。)


「私も早くパートナーと出会いたいな。」としみじみ思いました。

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