第2話

私は、今週も婚活を頑張っていました。しかし、セロテープを巻いたローソンの店員さんの謎が、常に頭によぎります。


新たなお見合い相手と雑談をしている時に、思いきってローソンでの話をふってみました。


名推理を披露されたら、私も彼を好きになるかもしれないからです。


爽やかなサラリーマンの彼はこう言いました。

「うーん。店員さん、紙で指を擦って、ケガをしたから、巻いていたのかもしれないですね。指の傷口をピッタリくっつけたかったのかも。」


「すごいです…」


私はそのサラリーマンのことを好きになりそうになりました。一瞬でこの名推理をひねり出せたからです。


彼は私より、かなり年下でしたが、とっさにしっかりとした意見を言えるなんて、大人っぽいと思いました。


しかし、念のために真実の答え合わせをしたくて、私は帰りに例のローソンを再び訪れました。


もちろん、お見合い相手には、ちゃんと、「ローソンで真実を聞いてきます!」と宣言して店を出てきました。




「…ちがいますよ!面白いから巻いてたんです!」

店員さんは子供っぽくてファンキーな人でした。


世の中には、ファンキーな人もいて、推理する側は大変だなと勉強になりました。


例のサラリーマンの方に二回以上会う勇気は、私にはありませんでした。ものすごく良い推理を導き出してくれたのに、現実がファンキー過ぎたからです。きっと真実を話してと言われるだろうから二回以上会うのはやめました。


二回以上会わなければ、彼の中ではあれが正答だからです。私は、余白の文化を楽しみたいと思いました。

(あと、そんなに彼を好きじゃなかったです。)

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