「   」

 明日が来て欲しくなかった。


 このまま全ての時間が止まればいいと思った。


 ——は公園のベンチから立ち上がり歩き出す。


 瞳には、一切光が宿っていない。


 まるで抜け殻のように。


 まるで動く死体のように。


 ふらふらと歩き続ける。


 何度も何度も考えた。その度に、何度も何度も心は傷だらけになった。


 でも、まだ最後の選択肢が残っている。


 ——はマンションにたどり着き、エレベーターに乗り込む。


 指先が選択するボタンは、自宅がある4階ではなく最上階の13階。


 上昇するエレベーターの中で——は一人皮肉っぽく微笑する。 

 

 もう覚悟は出来た。

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