「     」

 明日が来て欲しくなかった。


 このまま全ての時間が止まればいいと思った。


 ——は公園のベンチに座りながら、宙を睨みつけた。


 真っ暗でほとんど何も見えない。


 遠くの空からはゴロゴロと不気味な雷の音が聞こえる。 


 誰とも話したくない、誰とも関わりたくない。


 辛くて、苦しくて、怖くて、惨めで……


 ——はただただ自分を責め続ける。


 何度も何度も責め続ける。


 自分の体に、自分自身の手で、幾つものナイフを突き刺していくように。 


 何本も、何本も、何本も、何本も、何本も、何本も、何本も、何本も、何本も。


 この痛みから、この苦しさから。


 ——は逃れる事は出来ない。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る