第2話 器が小さい

  バスを降りる時に、運転手さんに『ありがとうございました』とお礼を言う人がいる。

んー、とあたしは考えこんでしまう。

タクシーの時は、あたしも言う。

なぜか?

個人対個人だから。

バスは、基本、複数人で乗合だから、いいかな? と。

しかし、乗客が自分独りだったら?

二人なら二分の一。

三人、四人、……数えるのが面倒なほど多い時は?

AIなら、瞬時に乗客数を感知し、割り算ができるのだろう。


 ってか、話のテーマは何なの?

お礼の言葉も、労働の対価に入るとしたら、あたしはいらない。それより、一円でも労賃をあげてほしい。お礼を言ってもらうために働いてるわけじゃないんで。


 ここで、天の声

「てめぇ、器が小せえぞ! 四の五の言わずに、世話になったんだから、ありがとうと言えよ、こらっ!」

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