第19話 少年編18

少し話はさかのぼるが隆司が薫姫こと佐藤薫と初めて出会ったのは二歳の秋で、インフルエンザか何かの予防接種を受けた時だった。


実は春子と薫姫の母親が学生時代の同級生で仲が良かったらしく、お互いに結婚してからは疎遠になっていたのだが、そこで運命の再会をしてしまい、あまりにもの懐かしさに意気投合。


その日はそのまま居酒屋までというような展開になってしまったらしい。


もちろん隆司自身は幼かったこともあり、この頃の記憶が曖昧で、後にこの再会のいきさつを春子から聞いた。


偶然と親同士のえにしが重なり合い、隆司と薫は出逢った。


出逢ってからは母親同士が知り合いということもあり、お互いの家を行き来する仲になり、隆司と薫はいわゆる友達以上幼なじみ未満という間柄になった。


親同士は将来2人を恋仲にしたいらしくて、勝手に自分達で将来設計をして盛り上がり、孫や二世帯住宅の話まで出てくる始末で、まだ恋愛のレの字も知らない二人にとっては気の早い、迷惑な話だった。

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