第18話 少年編17
隆司がこんなはじめていだく恋心をどうしたらいいのか苦悩している時、その解決策はかなり変化球ぎみに相手の方からやってきた。
薫のとりまきで隆司とも仲のいいおしゃべりな女友達から、薫が隆司の事を好きだという噂話が広がり、その噂話が人から人へとあべこべに伝わっていく。
挙げ句の果てには隆司の方が彼女の事を好きだという話になって、親友であり悪友でもある高橋健二から隆司の耳に入る。
高橋健二こと健ちゃんは、
「隆ちゃん、薫姫の事好きらしいやん~。」
と大人顔負けのいやらしい含みを持って聞いてくる。
どちらかというと奥手な隆司は、健二のその言葉に動揺して、
「えっ、あっ、うん。」
と事実とは違うのに返事をしながらうなづいてしまう。
さらに慌てて、
「けっ、健ちゃんちゃうねん!」
「そんなんじゃないねん!」
と意味不明な言い訳をする。
隆司自身もキチンとした状況を把握できていないせいもあってか、事実関係を上手く説明することができずに、その日は誤解されたままで、お調子者の健二におちょくられっぱなしだった。
結局、真実を説明して理解してもらうのに明後日の夕方までかかった。
もちろん自分にも密かな気持ちがある事の恥ずかしさもあるが、それより何よりも、薫と自分は親同士公認の幼なじみだからだ。
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