第13話 少年編12
隆一は、
「どこ見てんのよー!」
と春子にツッコまれる前に目線をうまくずらしながらさっきの問いに答える。
「大丈夫やで。」
「昨日、少し飲み過ぎただけやから。」
「ちょっとの間、横になってたらましになると思うで。」
と笑顔で答える。
「隆司は私が相手してるから少しゆっくりしとき。」
と病気や体調の悪い時はだけは特別に優しい。
その優しい妻の言葉に甘えて少し横になると、途端に眠気が襲ってきて、ウトウトしはじめる。
そして半時ぐらい?
それとも1時間ぐらい経っただろうか?
寝ぼけ眼で目を覚ますと、波打ち際の向こうで何か叫び声が聞こえる。
春子の声だ!
しかも、悲痛な叫び声。
そして周りからもどよめきが起こる。
隆一は起き上がって、その声が聞こえる方を眺める。
そこには、助けを呼んでいる春子と、逆さまになったゴムボートが見える。
只事ではないと隆一は悟る。
その直後に、
「誰かー!助けてください!ボートの下に子供が!」
という春子の叫び声が響きわたる。
その声を聞くや否や、隆一はTシャツを脱ぎ捨て、海面に飛び込み、春子とゴムボートの方に向かって無我夢中に泳ぐ。
その場所までは約百メートルぐらいだろうか?
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