第10話 少年編9
春子はその家族を見送ったあと、隆一の方を振り返り小悪魔的な笑みを浮かべて、
「ラッキーやったね。」
と一言、ウィンクしながら舌を出して砂浜の方に軽い足取りで歩き始める。
その後を隆一もたくさんの荷物を抱えて重い足取りで 、"こいつには叶わん" と心の中で呟きながらついて行く。
五分ほど松林を歩いて通り抜けた先は広大な浜辺が広がっていて、そこは普段殺伐とした都会で生活している人々にとっては、まさに楽園であり、現実逃避のできる癒やしの空間が存在していた。
海水浴シーズン真っ最中だけに人は多いが、山陰の中でも比較的大きな海水浴場だけあって窮屈な感じはしない。
春子が空いてるスペースで一番広そうな所を指差して、
「あそこにしよっか!」
と隆司の手を引きながら、歩きにくい砂浜を物ともせず進んで行く。
隆司はそれに引きづられ、隆一も荷物を抱え、ふらつきながら後を追いかける。
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