第2話かなとニューライフ2

♪♪♪~とスマホが着信を告げた。

スマホの画面に『はー姉』と表示されていた。

「はー姉、こんな時間に何?」

『深津羽見荘の住み心地はどうですかなぁ~かっちゃん?』

「快適だよ。窓からの眺めもいいし、管理人もいい人だし。それより、一人暮らしじゃないじゃん」

『まあまあ。私が手続きした訳じゃないし、お母さんに文句言ってよ。私じゃなくて。快適なら充分で、いま話してるから、後でってぇ、私だけいくから、かっちゃん。またね、お休みねって、ほんとっ』

プツッと通話が切れた。

妹はブラコンであり、実家を離れることが決まっても、駄々をこねて、ついてこようとしたほどだ。

俺は、ふぅーと息を吐く。吐いた息は暗闇に紛れ消えていく。

きょうだい仲は良好で喧嘩をほとんどしたことない。

もうすぐ、8時になろうとしている。中庭に置いてあるがたつくベンチから立ち上がり、部屋に戻る。


部屋の扉を開けると、照明は消えていて、窓から月明かりが小さく入っていた。

すぅすぅー、とルームメートは、寝息をたてていた。

猫のように丸まり就寝していた。

俺は、音をたてずベッドに潜り込み、ルームメートの寝息を聞きながら、上瞼が閉じていく。


起床したら悲鳴をあげることになろうとは、このときの俺は思いもしなかった。


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