彼から
今日は隣のクラスの健君にチョコレートをあげるために学校へ来た。
渡されたらどんな反応をするかなぁ、そう考えながら自分の上履きに履き替えようとして
上履きに手を伸ばした時、何か手に感触があった。なんだろうと思いながら手に取ってみると
手紙だった。誰からだろう?不思議に思いながら、封を切り中身をのぞいてみた。
中に入っていた紙に書かれている字には、委員会の仕事上他人の字を見る機会が多い私が見たことのない字だった。もしかしたら記憶にないだけかも、と思いながら文章を読んだ。
{今から、屋上へ来てください。}
手紙にはそれしか書いてなかった。見たことのない字だったし朝から委員会の仕事があったので
無視でいいやと、思い教室へ向かった。
朝の会開始のチャイムが鳴る直前に、自分の席につくことができた。
席に着いた時に今朝の手紙のことを思い出した。あの手紙を入れた子はまだ、屋上にいるのかなと思いながら段々不安になってきた。
朝の会が終わってからすぐに、屋上へ向かった。
屋上の扉を開けると、一人の男の子が立っていた。屋上の扉を勢い良く開けた
私の姿に気づくと、少しおどおどしながらこちらに歩いてきた。
彼から、紙袋を渡された。「…先輩、受け取ってください! じゃあさようなら!!」
そういって、春の風のようにスーッと私の横を通り過ぎて行った。
家へ帰ってから、中身を見てみるとチョコレートだった。いくつかのボール型のチョコレートが入っていた。これは、手作り…?怪しみながら、一つ口に入れてみた。
口の中に入った瞬間、鼻腔を甘いが甘すぎないちょどよいまろやかな香りが刺さった。
気づいた時には、溶けてしまいそうなボール型のチョコレートは彼がくれたチョコレートのうちの一つだった。
というか、今日一日めずらしく忙しかったからこのプレゼントの意味が分かっていなかったが、今思うとバレンタインに男の子からチョコレートをもらうとかめずらしいことじゃないか…?そう考えていくと顔が赤くなっていった。
あの男の子誰なんだろう?そう考えると夜も眠れなかった。
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