学校

この学校では、バレンタインにチョコレートを渡すことが厳しく禁止されている。

せっかくの良い記念日(?)なのに、規制してしまうのはどうかと思う。

でも、私が彼のことを思う気持ちに学校の規制は勝てないっていうことが

考えなくともわかる!


そう、今日は二月十四日ちょうど先生がいないであろうタイミングで

二つ隣のクラスの彼のことを廊下へ呼び出した。

階段の踊り場で、彼に小堤を渡した。彼は少し驚いた顔をして、すぐにぱぁっと笑顔になった。彼の耳が赤くなっていたがきっと私の方が赤くなっているだろう。

その時、廊下の方から最もチョコレートの受け渡しに厳しい先生の声が聞こえてきた。

”やばい”と思った時には、時すでに遅し先生は、踊り場にいた私たちと目が合った。

「おう、お前ら何してるんだ?もしかして、チョコレート貰っていたんじゃないか?」

流石だ、この人らしい。私の頭が回っていない状況だったが彼の方は冷静だった。

「以前に貸した本を返してもらっていたんです。内容をご覧になられますか?」

彼は、先生たちから秀才で利口だとみられている。だから、その先生も

特に気にすることはなく、「もし、チョコを渡していたら取り上げなければいけなかったからな」そういって、先生は立ち去った。

彼は、こちらに目配せをして「お返し何がいいかな…?」と困ったような子犬のような

顔をして聞いてきた。ずるいなぁ。

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