第9話―カモイなげし5―

自室に入って目を閉じる。

夢世界へと繋げるのは意識領域にあるイマジネーションで形成される道ではないかと考えている。

教えられたことを呪文を唱えるかのように実行し、最後に目を開ければ

俺が立っている場所は同じ。

しかし次元が違うのが第6感的にそう認識はしている。


「恐怖の記憶はあるけど問題は無し…

鬼川のところへ行くか」


リビングでは好奇心旺盛の塊である鬼川藍璃が飛び込んでいるはずだ。

今度は自らの意思で入る。鬼川の視点からすれば初めて自分の意思で足を

踏み入れる行為に、

多少の恐れや信じていないのも考慮すれば俺よりも遅れるか来ない

可能性もありうる。 リビングに向かう前に自室で変身を済ませてから現れるまで待とうと先に一階の居室に入ると鬼川の姿があった。


「まさか、もう来たのか!?鬼川」


「…ん?そう、だけど…なんて言うのか…狐に包まれた顔している」


「それは、まぁ…招き入れられた時とは違って今回は自分から入るんだ。

夢世界があると頭にあっても容易に信じられないし意識が弱かったり

想像力が足りなければ時間は掛かるものなんだよ」


「想像力になら…誰にも負けない!」


鼻息を吐いて胸を張り力強くと断言をする。感情の起伏は顔や声に出ておらず淡々としている印象なのだが、内容と小さなリアクションでなら

汲み取れた。


「かなり強き発言するんだな。

ともあれ夢世界に入ってどうだ?

怖くないか?不安はあるか」


「心配…しなくても大丈夫。

今はワクワクしているぐらい」


どこか感情を顔に出すということを置いてきたのか静かな表情で、

握りこぶしの腕を上下に振りながら子供みたいな反応を示すのであった。

ふかふかのソファーから立ち上がって

室内を見渡す鬼川に俺は尋ねる。


「入って早々なんだが変身をやってみるか?」


「変身?」


「そう、 夢世界では必ずと言っていいほど誰でも変身が使用出来る仕組みになっている。

お前が、なりたい者にイメージして

やってみるといい」


「やってみる」


想像を膨らませようと目をおもむろに閉じて、変身を行おうとする。


「細かい助言には伝えられないけど

好きな顔やスタイル、衣装なども

自由になれる。

なろうとする自分よりも、なりたい自分を」


「………」


返事は無かったが鬼川の身体に、青い光が内側から外側に溢れて発光。

光が強く輝きを増していくと俺は左腕で視界を防ぐ。

瞼の裏に浴びるようにあった光が収まり腕を下げて瞼を開けると見知らぬ

女の子が佇んでいた。そこには無表情な少女の代わりに立っていた。


「どうやら成功したようだなぁ」


変身を完了した鬼川の雰囲気や多数の変化をもたらした。

明るいピンク色が似合っている。

腰にまで伸ばした髪の変化は自然的なローズピンクの色しており眠たげな目は大きな瞳に変わっている。

根暗な女の子から一変して天真爛漫なアイドルへと変身を遂げるので

あった。


「変身は?成功している」


「……ああ。見事に成功はしているがギャップが激しすぎるぞ」


不安げな瞳を浮かべて上目遣い。

気質によるものか?そんな仕草をしても、あざとさは欠片もなく純粋な

感情の吐露にも取れる。

これは本人が変身したとかレベルを超えるほど変貌をしすぎていた。

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