第1話―夢を抱く者アイテル―

「…夢か」


――どうやら俺は夢を見ていたようだ。当時は師匠と呼んでいなかった懐かしい記憶だ。こんな邂逅するのは高校生としては美少女の幼馴染がお約束なのだが、せん無きこと。


「そういえば名前を名乗る前に消えてしまって再会すれば普通は名前を言うのが普通の流れだと言うのに」


師匠のおかしな言動には俺は苦笑する。ともあれ俺は自室のベッドから立ち上がって窓に近づいて外を見下ろす。ここは夢世界、師匠の言葉で言うならアナザーワールドとなる。現実世界での俺は眠っており、魂は夢世界へと誘われた。

そうして俺がいるのは見慣れた自分の部屋だが、ここは夢世界の俺の部屋だ。


「相変わらず、ここは他の人が滅多にいないんだよなぁ。歪さを感じるのは猫とか犬がいない…それが残念だけど。って俺は寂しさのあまり独白スキルがマックスに到達する寸前の末期レベルだな」


今日は窓から飛び降りずに日常的に出入り口から外を出る。まぁ、普通に玄関から靴を入って行きたいという、そんな理由だが。

振り返って偶発的の夢で師匠との思い出をフラッシュバックして想起する。ここは師匠と初めて出逢った場所なのだ。郷愁感が強まっていきながら後ろの家を振り返って見上げる。住所は静岡県にある浜松市はままつしにある

特徴が普通とアニメやドラマで使われそうなニ階建ての一軒家。


「…師匠また来れたよ。トラウマは克服したよ。たとえ二度と会えないと分かっていても…もう一度だけ会いたいよ」


あらゆる思い出が感情に訴えてきて俺は唐突に言の葉を紡いたくなった。

気づけば頬から一滴の涙が伝っていき指で拭う。小さい頃は楽しくて夢中で飛び込んでいた。しかし成長するにつれ別に行くほどでもないと思うようになっていた。

ここでは異世界チート転生みたいな妄想が現実に味わえる魅力がある一方で、それは誰でもなれる、、、、、、一種のサビースのようなものだった。それに、こういう世界では頻繁に取り扱われる題材ゲームの登場である自らの意志を持つNPCを助けることや、ここは現実世界に覇権を争うようなものはなく遊戯ゆうぎが詰め込められたような世界。


「そんなことより今日は、どこに行って景観を楽しむか。その前に、変身をしておかないと…」


右手を横へ振り払うと俺の姿は別の姿へと変身する。姿見がないが姿が変貌したことだろう。

変身シーンがスキップボタンを押したみたいに違和感がありありの一瞬。

髪は短くした紫色、猛禽類のような鋭い瞳をしていて俺の本来した姿形よりも美化している。


「さて、いくとするか。

…星がキレイだな」


地面を蹴って上昇してから前進する。こうやって空を飛んでいるだけでも近くに夜空があって最高の景色だ。


(目的もなく飛ぶだけでも十分に楽しいが、絶景でも見ないと損だしなぁ。そうなるとどこに行くか?

たまには師匠と行った岩本山公園にでも向かうとするか)


目的地はすぐに決まった。ずっと前に師匠と夜の虹が、あまりにもキレイな所。現実でな岩本山公園に夜の虹が現れることはない。かなり奇跡的な条件で現象が発生するのが夜の虹ムーンボー。 ここは夢世界であるから現象が自由奔放と化している。


(よし、見えてきた。岩本山公園だ)


岩本山公園とは標高193メートルの山で梅がたくさん咲いていて景観が楽しめる上に富士山もあって景観としては十二分ほど堪能が出来るのだ。

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