第1章 同じ羽の鳥は集まる
01 同じ羽の鳥は集まる
うっそうと茂る森の中、少年は静かに構えていた。
その手に握られているのは、一本の片手剣。
刀身にはいくらかの傷が見えるが、輝きは目に眩しい。
手入れがきちんと施されているのであろう。
使い込み、今や自分の体の一部であるかの様にまで扱えるそれを、汗ばむ手で握り直す。
やがて、その時が来た。
激しい鼻息をさせながら、一頭の猪が眼前に飛び出してきた。
大きさはリョウヘイの2倍ほど。
並の剣士であれば足がすくむ迫力だ。
だが、少年はまばたき一つせずに猪を睨み返す。
ジリジリと焼け付くような緊張感の中、互いに間合いを測る。
永遠とも思える時間が過ぎる。
ついに、猪が動いた。
痺れを切らし、先手必勝と言わんばかりに少年に突っ込む。
さながら褐色の砲弾の如く迫るそれを、体を僅かに傾かせ、すれ違うかのようにかわす。
同時に振り抜かれた剣が、獣の皮膚を、筋肉を、そしてその奥の臓器までもを引き裂いた。
邂逅はその一度だけ。
静寂の後、轟音と共に獣は崩れ落ちた。
ベッドタイムクエスト 流離 流留 @guzuo
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