第2話 世界の退廃と学園
「ずいぶんここ数年で荒れ果てたんだな…」
「そうですね。 植野さんもご存知でしょうが、第三次世界戦争でこの世界は退廃しました。その上、砂嵐でコンクリートなどの建造物も老朽化が進んで危ない状態です」
砂の広がった丘を歩き続ける植野と4人の少女。風で吹き荒れる砂粒を目に入らないように手で塞ぎながら、目を細めると遠くに古びた学園が見える。
「なぜ、オレを助けてくれたんだ? それにオレより適任の人物がいたんじゃないのか?」
「いえ、そんなことはありません。 ここら辺にはマフィアや数少ない難民以外、助けを求められる人物はいませんでした」
「マフィア達の連絡網をたまたま傍受して、都合の良いやつ見っけ! って思ったんだよね〜」
「こら! シナモン先輩。 植野さんに失礼でしょ!」
「良いんじゃない? どうせ、こいつもさっきのマフィアに捕まるぐらい大した奴じゃないんでしょ。 どうでも良いわ」
「……」
わちゃわちゃした少女達の会話劇に微笑ましさをひさしぶりに感じた植野は優しくクスッと笑った。
「ちょっと、何笑ってるわけ。 この凡人!」
「すなやんまで…植野さん。 ごめんなさい、本当に」
「いや、大丈夫だ。 なんか君たちの雰囲気を見て、昔の日々の楽しさを思い出して」
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「大丈夫ですか? 口の中、切れてるんじゃないんですか?」
「うん、でも君の手当てのおかげで少しは楽になったよ。 ありがとう」
「いえ、それはこっちも同じです。 それと、休憩してる間にこれに目を通しておいてくださいませんか?」
「うん…?」
黒い表紙の生徒名簿を手渡される。
「これは…?」
「この学園のクラス名簿です。 唯一、いる生徒はこの4人ぐらいしかいませんから…」
「なぜ、個人情報をオレに…」
「植野さんにもこの学園の生徒の1人として協力してほしいからです」
「えっ…?」
「じゃあ、そうゆうことで私もご飯をみんなと食べに行かなきゃならないので!」
「ちょっ…!」
颯爽と保健室を走り抜けながら、去っていく山川。
その姿を唖然とベットに座って1人見ていた植野。
「なるほど…これが生徒名簿ってやつか」
ペラペラとページをめくりながら、初めて見る生徒名簿に新鮮な気持ちでいた。
「そういえば、学校なんて行ったことなんてなかったなあ…オレ」
保健室の前で出て行ったはずの山川が背を向けて1人立っている。
「国家軍事局のスパイさんを私たちの目的のために巻き込むのは気が引けるなあ…」
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先生が立つ場所であるクラスの机を叩き、音をクラス中に響かせた。
「ど、どうしたんですか? 植野さん」
「君が
「君がフリーソン・サニー・シナモン先輩。 青髪のロングヘアー」
「ん? どうしたん? 彼は」
「君は
「……?」
「君が
「なんで、私だけ呼び捨てなのよッ!」
生徒名簿は見ずに読み上げた植野の姿は、黒いジャケットから学園内にある男子高校生が着るようなYシャツとネクタイ。ズボンに着替えられていた。
そして、ネクタイをビッシリと締めながら、鋭い眼光で植野は言い放った。
「オレは、君たちの学園を必ず救う。 オレを救った礼はでかいぜ。 これは契約だ」
ライト:エンカウント 代々城 @umm
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