第13話 通学タイム!!

ーー通学…。



いつもは気が重い通学…も、今日はルンルン気分だ!


何故なら………そう!憧れの秋仁さんも一緒だからだ!!!

わーい\(^o^)/


しかし!


これで2人だけならスゴイ特別感?があったのかもしれないが、周りからズルいだ何だと謂れ無いイチャモンをつけられ、けっきょく


「秋仁さんと一緒に通学・通勤とかマジで超レアだし。一緒に行くに決まってるし」

「なかなかないよね!スゴイ!俺も一緒に行く!」

「僕は信君が居れば何でもいいよ」


と、さとる優心ゆうごきいとも一緒に行くことになり、いつもの延長線上みたいになってしまったのだが、これはこれでまぁ、楽しそうだから良しとする。ただ、誤解を招くような発言はやめていただきたい。…純くん、君だよキミ。気をつけようね。



それよりも今は、前々から興味津々だった秋仁さんの通勤タイム!超絶美形秋仁さんの通勤タイム!!


それはそれは周りからスゴイ注目を浴びながらの通勤になるんだろうなとか、この黒縁眼鏡&カジュアルオフィス姿でさえ美しい秋仁さんに雑誌モデルやらタレントやらのスカウトが来るんだろうなとか、待ち伏せや押しかけ、追っかけや盗撮、ストーカーなどなど、常人には無縁な出来事が起こっているんだろうなとか、いろいろ期待していたのだが……


ななな、なんと!!存在感を完璧に消してらっしゃる!!!


いや、見えるんだよ!?見えるんだけど、なんていうか、俺でさえ少し気を抜いただけで"居る"という認識を忘れそうになる!これが"忍び型"特化???


なので一般人の人は秋仁さんに気づかない!!

どんなに混雑した所でも、真正面から真っ直ぐ前を見て歩いてきた人でも、誰一人秋仁さんを認識していない。

存在感さえ無ければ人の目に留まることはないし、脳も認識しないから印象にも残らない。


すすす、すげぇーーー!!!!!


ちなみに秋仁さんは、目の見えない子達が通う学校の教師をしている。だから生徒達は秋仁さんが美形顔だという事を知らない。その代わり視力以外の感覚が鋭いらしく、秋仁さんの体型や人となり、その日の体調、気配などなど、いろいろ分かる子には分かるらしい。しかし職員の人達の間では"存在感が無い幸薄そうな人"とか"あ、ほら、誰だっけ?…あぁ〜名前も出て来なければ顔もぼんやりして出て来ない"という感じらしい。


すすす、すげぇーーー!!!


この超絶美形が認識されないとか普通あり得ない!

すごい徹底ぶりだ。絶対昔なにか一騒動あったんだろうと勝手に予想する。だってこの超絶美形顔だよ!?絶対何かあったに決まってる。でも本人にとっては嫌な事だったのかもしれないので、あえて俺からは聞かないでおく。でもいつかは秋仁さんのこといろいろ聞かせてくれるといいなぁ〜。


ちなみにどんなに存在感は薄くとも、透明人間なわけではないので、業務に支障は無いし、職員の方達とは必要最低限の会話はするし(印象は残らないけど)、生徒達からは、たくさんのお土産を貰うくらい慕われているらしい。


…完璧ですな。マジでスゴイ。


まぁ、勿体無いような気もするが、こうやって秋仁さんやその周りの人達の平和が保たれているのだろう。


人は欲深く嫉妬深い。色恋の欲求をぶつけてくる者、容姿や才能に僻み妬む者も居る。わざわざ争いの芽になる事はない。


"自分の印象を残さない"。きっと、これが秋仁さんがこれまでの経験から出した生き方答えなのだろう。


誰の印象にも残らない人生だなんて…俺だったら、切なくて涙出てきちゃう。

俺は今後、例えどんなことがあっても秋仁さんを慕い続けると今まで以上に固く誓った。




「そろそろじゃない?例の公園」



今まさに巷で話題の公園に着いた。


しかし、工事中か何かで立ち入り禁止になっていた。

現場を見たかったんだが…。

その時、作業着を着た人が公園から出てきた。

俺の目は刑事のソレになる。


「すいませーん!この公園で何かあったんですか!?」

「ん?あぁ…。立形水飲水栓が壊されてたんだよ。しかも蛇口が折れたとかじゃなくて、根元の方からコンクリートごと吹き飛ばされた跡みたいにあちこち破片が落ちてて、周りは水浸しだし。例のニュースの爆発事故の話もあるし、警察も調査してるみたいだ。てことで、危ないから中には入るんじゃないぞ。じゃぁな」

「ありがとうございました」



…立形水飲水栓。みんなが水を飲むための水道設備。

あれがコンクリートごと吹き飛んだとか、なかなかの威力ではなかろうか…。



「…爆屁やべぇwすげぇ威力」


悟は思考を屁から離せ。バカにしすぎだろう!…(笑)


「……………」


秋仁さん目を閉じて何か考え込んでる…?


「信くん、秋仁さんなら、さっき信くんが聴き込みしてた時に鳥の式神を飛ばしてたから、式神に意識を集中させて公園の景色を見てるのかも」


なるほど。流石秋仁さん!!

俺も出来るだろうか!?(期待大)

秋仁さんが鳥で上からの全体の景色も含めて見ているのなら俺は地面の痕跡も含めて見れる視界で周った方がいいかな!(期待大)


「白狼!!」


期待を胸に膨らませ、白狼を招ぶ。


「……………」


しかし白狼は出てこなかった。おのれ白狼め。

マジでどっちが上か教え込まねば…。


桃花鳥姫ときじさーん!」

「ピッ」


桃花鳥姫さんキターーー!!!

かんわいぃ〜〜〜!!キレーーー!!来てくれた優しいーーー!!


「桃花鳥姫さん可愛い!キレー!!ありがとう!!!」

「ピッ」


片羽を挙げて返事を返す桃花鳥姫さん。


「うはあ〜〜〜かんわえぇ〜〜〜」

「………信くんがここまでデレデレになるなんて…一体どんな姿してるんだろう…?」

「ん〜…俺達には視えないねぇ。残念」

「信ばっかズルい」


またズルいだ何だと謂れ無いイチャモンをつけらる。


「…ピッ」


桃花鳥姫さんが両羽挙げポーズを取る。


「「「 !! おお〜〜〜! 」」」


どうやら謂れ無いイチャモンをつけてた連中達にも姿を視せてあげたらしい。桃花鳥姫さん優しい〜。

若干どやぁってなってるのも可愛えぇ(笑)


「桃花鳥姫さんキレー」

「可愛いねぇ〜」

「ふわっふわっ?…触っていいの??」

「ピピッ」


桃花鳥さんが首を横に振った。

どうやらお触りはダメらしい。



「桃花鳥姫さん、俺も秋仁さんみたいに桃花鳥姫さんの目を借りて公園の様子を見たい!!」

「ピッ」


桃花鳥姫さんが片羽を挙げた。オッケーと言うことだろう。

よしよし。問題はどうすればいいのかだが、、、。

意識を桃花鳥姫さんに集中する?ってどうやればいいんだろう??

なんか、幽体離脱みたいな?憑依みたいな?感じなんだろうか??


とりあえず俺も秋仁さんの真似をして目を瞑り、意識を桃花鳥姫さんに集中してみる。


「……………」





…………………。




…………………………。





………………………………???????



「……分からん!!!」

「まぁそりゃぁ、いきなり出来るわけないよね流石に笑」

「大丈夫!信くんなら絶対出来る様になるよ!!」

「信、乙」

「生臭坊主にはまだ早い!!」

「「「!!」」」


うわっ……。


「何で変人まで来てんだよ!!」

「現状の確認をしに来るのは当たり前のことだバカ猿」

「お前もかよ駄犬」

「俺もいますよぉ〜」

「聡嗣さとし先輩は大歓迎です。お前らは帰れ!」

「酷い!冷たい!お尻見せ合った仲じゃない!」

「変な脚色するな!!そしてその話は2度とするな!!」

「あっ!秋が無防備!!」

「やめろ!秋仁さんに近づくな変人!!」


ーーバサッ。


鳥の式神が戻ってきた。


「…騒がしくなったと思ったらやっぱりか…」

「えっ、なになに!?そんなすぐ分かるほど俺のことが好きなの!?もぉ〜秋ったらしょうがないなぁ〜」

「…道化にもなれない哀れな愚者だな。可哀想だとも思わないが」

「秋の照れ隠しな発言はスゴイ精神にくる!!」


まぁ、照れてないし隠してもいない、事実を言っているだけだからな。しかも淡々と無表情のキレイな顔でズバッと言うから…。


変人がワチャワチャ騒いでる間に、聡嗣先輩は桃花鳥姫さんにお願いをしていた。



「桃花鳥姫さん、携帯を渡すので、公園内の動画を撮って来てもらえませんか?」

「ピッ」


桃花鳥姫さんが聡嗣先輩の携帯を脚で掴み、公園内を飛んでくれた。

さすが聡嗣先輩、抜け目な…どんな時でも機転を利かせ、利用できるものは利用し、しっかり目標を達成させる策士。

そしてそれを了承してくれる桃花鳥姫さん優しいーと思ってたら


「…聡嗣、桃花鳥姫は主人以外でも気が向けば頼み事を聞いてくれるが、主人以外は見返りを求めるぞ。覚悟しておけ」

「あぁ〜なるほど。あはは、覚悟しておきます」


……桃花鳥姫さん、後出し請求とか…可愛い顔してやり手とは…末恐ろしい。


…あれ?俺も何か見返りを求められるのだろうか?

…覚悟しておこう。



「信善、式神の目を借りたいなら訓練がいる。人間とは見える波長(色)も見え方も違うから脳が情報処理しきれない」



なるほど。

人間では赤、青、緑の三原色(を組み合わせた範囲内での色しか見えない)が基本だが、鳥の場合は紫外線も見えるので4原色だ。なので、鳥の目の方が多彩な色を見れる。

人間には黄色の花弁にしか見えないひまわりの花も、紫外線が見える生体から見たら、模様のある花なんだとか。

また、紫外線を反射するものや生体は意外と多く、それらはとても色鮮やかに見えるそうだ。


さらに、鳥は人間よりも視野が広く、中心窩ちゅうしんかと呼ばれるカメラのピントのような物が人間の倍ある。

人間は正面にある一つのものしか認識できないのに対し、鳥はそれぞれ違う角度や距離のものを同時に認識することができる。


だから、目だけ借りても人間の脳が処理しきれず意味がないので、意識を式神に移し、式神の目と脳で見る(感覚器官で感じる)んだって。


「まずは式神の使い方からだな」

「はい、御指導よろしくお願いします!」

「俺がーー

「秋仁さんに!!教えてもらえるなんて嬉しいなぁー!!」

「えぇー?俺もーー」



ーーピィ〜ッ



桃花鳥姫さんが帰ってきた。可愛えぇ。タイミングもバッチリ!さすが桃花鳥姫さん!!!


「桃花鳥姫さんありがとうございます」

「ピッ」


聡嗣先輩が携帯を受け取る。


「……………」

「……………」



…とりあえず今すぐ見返りを請求するわけではなさそうだ。

…後が怖い。



みんなで動画の様子を観てみるが、立形水飲水栓周り以外は特に何も…あっ、植木が何本か倒れてる。

何か強い衝撃を受けて倒れたという感じだろうか?


「………………」

「………………」


秋仁さんと冬篤変人は何やら考え込んでいる。


「…衝撃波レベルまではまだ達していないようだな」

「…あぁ、まだヨーヨーサイズくらいの風圧の塊がぶつかったみたいな感じだろ」



二人ともザッと見ただけで分かるのか。て、



いやいやいやいやいや!!衝撃波も風圧も常人にはとても自分では起こせない現象だからね!!


てか、その風圧も衝撃波も、残念魔王にエンカウントする度に俺に向かって飛んでくるようになるの!?


コンクリートも吹っ飛ばしちゃう威力のレベルが!?


それって当たったら俺の肉片も吹っ飛ばされちゃうってことでしょ!?



俺、超絶ピンチじゃん!!!



マジで学校とか悠長に行ってる場合じゃないじゃん!!!


え、やっぱり本山に修行しに行かないといけない現状なの!?


あんな事やそんな事の洗礼を受けた先の新たな世界で

新たな何かに目覚めなくちゃいけない事態なの!?


新たな何かに悦びを感じなくちゃいけない程なの!?



目覚めたモノは戦闘や護身の役に立つモノなの!!?



ああ〜ダメだ。落ち着け、落ち着け俺!!!



「やっぱ、本山に行った方がいいんじゃない?」

「!!」


ニタニタ顔で俺を本山に送ろうとする冬篤変人。


「…………」


秋仁さん!そこで考え込まないで下さーい!!

ドナドナになっちゃう!!!


「信善も学校サボりたいみたいだしぃ〜」

「サボりたいわけじゃないって言ってるのに!!」

「でも本山にずっと籠ってた方が安全かもよぉ〜?」

「何処かの変人の話によると、違った意味で危なそうだけどな!」

「えぇ〜?ナニソレ〜やだぁ〜こわぁ〜いドキドキしちゃ〜う♡」

「去れ!変人」

「お前が本山に去れ。バカ猿」

「猿、本山に去るw」

「バカ猿のサルにかけるとは、流石です!冬篤さん!」

「うまくも面白くもねぇーっつーんだよ!誰が猿か!」

「まぁまぁ、とりあえずこれからの事は後で考えるとして、そろそろ学校行きましょう〜」


聡嗣先輩が笑顔で収拾し始める。あ、いつもすいません。

ありがとうございます。


考え込んでいた秋仁さんが顔をあげる。



「…今日の夜、夏義かぎも呼ぼう」


「「 「 !!  」」」




カリスマが来る!!!!!!




秋仁さんとは別ベクトルのカリスマだ。




「えっ!?夏義さん!!」

「やった!久しぶりに夏義さんと秋仁さんが揃う!二人の手合わせ見れるかな!?」

「二人とも普段教職の仕事に就いてて、あまりお目にかかれないからね〜。講義か修行、どっちかでいいから指導してくれないかなぁ〜」

「秋仁さんが来てくれただけでもみんな嬉しくて大はしゃぎなのに、そこに夏義さんも一緒となったら、どうなっちゃうんでしょうねぇ〜」



みんなのテンションが上がった。



「っ!!………!!!………♪………っ!♪」




…悟のテンションが爆上がった。


普段のテキトーな様子からは信じ難い変わりようである。


冬篤変人に忠誠を注ぐ桜井真駄犬に負けないくらい悟も夏義さんに忠誠を注いでいる。


しかし、彼女よりも冬篤を優先する駄犬に対し、悟は、

「いや、夏義さん男だし。そりゃ彼女優先するっしょ」

と、彼女を優先するあたり忠誠心は駄犬の方が上の様だ。

そこはやはり悟らしい(笑)


ただ、、、

「夏義さんが女だったらどんなに拒否られても片時も離れずずっと一緒に居る」

発言をしていたあたり、ヤバさは悟の方が上かもしれない…?


てか、駄犬に彼女がいることにいまだ納得がいかない!何処が良いのか真顔で質問攻めにしてしまいそうだ。彼女はきっと駄犬と同類か、凄く人間が出来た人かのどっちかだろうと勝手に思っている。



ちなみに優心は春徳さんの隠れファンだ(笑)

太刀筋を真似ているのも見てて微笑ましい。



「秋と夏義はすごく仲良いよねぇ〜。秋にしてはホント珍しく普段見せない表情見せるし。夏義も秋が呼ぶと絶対来るし。秋の蛇の式神は夏義から貰った式神なの??もしかして、二人には何か特別な絆でもあるの〜?」

「冬篤との絆が無いだけだ。必要も無い。では皆、また夜、本堂に集合しよう。それまで気をつけて過ごすように」

「「「は〜い 」」」

「無いなら結べばいいよ。とりあえず駅まで一緒に行きながら絆を深めよう♪」

「断る」


こうして一時解散になったわけだが、、、


「…ごめん、みんな先行ってて!ちょっと寄る所あるから!」

「えぇ〜?僕も一緒に行くよぉ〜!」

「信善一人じゃ危ないよ」

「桃花鳥姫さんと白狼が一緒だから大丈夫だよ!」


白狼もいざとなったら出てきてくれると信じている…。


「何処に行くの?」

「…朱白神社に神頼みしてこようかと」

「まずはウチの仏様に頼みなよw」

「いや、ウチの仏様は説法を垂れるだけだから」

「またバチ当たりなこと言って…」


試練を与えた張本人、貧乏神様にも相談とかしてみようと思っ……たのが半分!文句言ってやりたいの半分!てことで行くだけ行ってみようと思ったのだ。


それに、気の使い方の熟練度上げに、かわす特訓、式神の使い方、あと、気配の消し方とか、その他もろもろ、多くの課題も明確になってきたので、ダメ元で神様からのアドバイスやヒントをもらえないかも聞いてみたい。


みんなは試練のことを知らないので、どうにかこうにか先に学校へ行ってもらい、一人で神社に行くことになった。

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