第4話 今日もお喚びがないので…いざ神頼み!!

神頼みに近所の神社に行くことにした。


ーー 朱白神社 ーー


弓道を教えてくれた幼馴染みの神楽家が、代々この神社のはふりをしている。しかし、此処の神様は願いを叶えてくれるというよりかは、また違った神様らしい。詳しくは分からんけど。なので、当然お参りとか一度もしたことない、というか、来たことさえなかった。


しかし、今はそうも言ってられない。そこの神様がダメでも、神様同士のネットワークなるものがあって、他の神様に頼んでくれたりとかするかもしれないし。しかも、願いを叶える神様じゃないってことは、次元を繋いでる神様かもしれないし……そうだよ!何故今まで気づかなかった俺!!


俺は神社へ急いだ。その道のりは夢と希望で満ちている。

俺の心も夢と希望で満ちている!


夢と希望で満ちている俺は、白虎が下を見下ろしながら寛いでいる彫刻が乗った鳥居を潜った。いざ夢の国!

すると、箒を持った黒髪の如何にもな巫女さん姿が見えた。

この夢の国で夢のかけらでも集めているのだろう。


……人じゃないな。たぶん、この神社の式神か何かだろう。


向こうもこちらに気づいたようで、怪訝な顔を浮かべる。


「……あなた程度の人間が一体何しに来たの」

「言い方ーーー!!!言葉は選べ!客に失礼だぞ?!」

「……何か御用でしょうか」


式神巫女は一瞬、鬱陶しそうな顔をしたが、言い直しに応じた。ただし、視線は箒に向けたままだ。コノヤロウ。


箒でこちらに向かってゴミを掃いてるのはワザとじゃないと信じて目を瞑ろう。。。


「よろしい。俺は、ちょっと神様にご挨拶しに…」

「家畜に神は居ない」


やめろぉーーー!!!


「その発言はいろいろと、いろんな意味でマズイから!!!言葉は慎重に選べ!てか、何なのお前?!人間を何だと思ってるの!?今日一番のビックリだよ!式神だからって言って良いことと悪いことがあるんだからな!」

「!」


式神巫女は驚いて弾かれたように此方に顔を向けた。



「…なるほど。霊力だけは高い人間だとは思ったが…私の事をある程度は分かるのか」



ガツ ガツ ガツ


まぁ、うちにも似た様なのが居るしな。


ガツ ガツ ガツ


「俺の足に箒をガツガツ当てるのヤメロ!!」

「ゴミを排除するのが、私の仕事なので」

「客をゴミ扱い!!?」

「お客様はキチンと客人扱いしますよ。何を言ってるんですか」

「俺も客だ!!」

「では、あちらの鳥居をお進み下さい」

「帰す気満々かっ!!」

「…チリトリでは入らないので、一輪車を持ってきます。大人しくそこに居て下さい」

「排除する気満々かっ!!ちょっと責任者呼んで来い!」



しれぇ〜っと掃き掃除を続ける式神巫女。本日二度目のコノヤロウ。



…さてと、気を取り直して改めて神社を隅々まで見てみる。


……なる程、本当に参拝するような神社じゃないんだな。


先程の白虎が乗った鳥居を潜ると、敷地内は白い壁で囲われており、鳥居から真っ直ぐ一直線に白い石畳が敷かれ、それ以外はコンクリートの地面で、最低限の植木しか植えておらず、とてもシンプルな境内だ。


石畳を真っ直ぐ進むと、


右手に手水舎、神楽殿があり、

左手に御守や御札を販売・頒布している授与所があり、


更に奥に進むと、社殿はあるが、本殿が無く、賽銭箱も設置されていない。


しかし、専用の祓殿があるようで、そこで祈祷とか、厄除みたいなお祓いはやっているみたいだ。


まぁ、神楽家は一般に神力とか神通力と呼ばれているものが高いから、大体は神様に頼らずとも効果はバッチリだろう。あ、おみくじもよく当たるらしいから帰りに引いて行こう。


社殿の後ろにある建物は、社務所兼自宅だろう。


社殿の屋根の主棟には朱雀が乗っている。


お、社殿に本坪鈴と鈴緒がぶら下がっている。紐を揺らしてカランカランと鈴の音を出すやつだ。鈴の音色には魔除けの力があり、参拝者を祓い清めながら、来訪した事を神様に知らせるらしい。現代で言うインターホンみたいな感じなのかな?


それがあるって事は、神様にこのお社にお越しいただく事も可能ということだろうか?


鈴が鳴ることによって神様と繋がり、神霊の発動を願うという役割もあるといわれているらしい。


ん!?コレは…如何にもな展開じゃないか!?



俺は早速、鈴の音を鳴らすべく紐を手に取る!



ブチっ…ゴッ



ガランガランッ



((ガランガラン))



((ガランガラン))




境内に鈴の音がコダマする…。


「〜〜〜!!!」


紐が切れて鈴が頭に落ちてきた。コントのタライ落ちオチかよ!!!

死にはしないが痛いわぁ!!!思わず屈んで頭わしゃわしゃさするほどには痛いわぁ!!!


「………」


さっきっから黙って静観している式神巫女に神社の不備を訴えようと鈴と紐を持った瞬間



パァァァァァァ



「!!!」



社の中から光が溢れ出してきた。



「キターーーーーーーーー!!!!!」



この時を待っていた!遂に!遂に俺も異世界へ!!

ヒャッハーーー!!!


「ええ、…来てしまいましたね」



神様?!神様降臨的な?!

スキル!!与えて貰える能力の確認して!それから!えと、えと、ダメだヒャッハーーーイ!!嬉しいのが抑え切れないぃぃぃぃーーーー!!!ウハーーーー!!!


スッ


光の中から人影が見えた!


シルエットは長身で、腰くらいまでの長髪がなびいている。


おお!おお!!これまた如何にもな神様展開!!!

男かな?!女かな?!中性なのかな?!


興奮冷めやらず。さっきっからテンション上がりまくりだ。


どんな設定でくるのだろうか?!


フッ



光が消え、ようやくその姿を拝むことができた。



「…えっ!!?」

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