第3話
「鈴木中将。お待ちしておりました」
通路の先で、二人の部下である岸本少尉が待ち構えていた。岸本は自分より長身の二人に少し怯えたように声を震わせながら敬礼する。
「報告を」
と、瀬戸。
「ハッ!」
二人が歩みを止めることはない。瀬戸の後ろに岸本が続く。
「奴の脱獄を手助けしようとした輩を七人捕らえました」
岸本は続ける。
「赤のスパイです」
鈴木は少し間を開けて答える。「そうか」
「ここです」
三人は立ち止まった。
その教室には窓がなかった。重い鉄の扉を開くと、壁から伸びた腐りに繋がれた七人の男子生徒たちがつるし上げられていた。それを殺さんと待ち構える銃撃隊。
男子生徒たちの顔は腫れあがり、あざだらけだ。拷問の非道さは聞くまでもない。息も浅く、みな、死期を悟っている。
目の前の光景に、瀬戸が思わず動き出そうとした。それを鈴木が制止する。鈴木は七人を順に睨みつけ、中央の一人の眼前に立った。
「…‥‥グハッ」
鈴木はその生徒の腹にパンチを食らわせた。口から血が吐き出される。
体育祭(バトルオブリリー)~誰がために鐘(チャイム)は鳴る~~ 高井カエル @spex69u1
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