第2話

マヒロは今でこそ、超絶ビッチ風の派手派手女子だが、

小学校、中学校と空気のような存在だった。

とにかく目立たない。地味に徹してた。

黒縁眼鏡をかけて、休み時間は読書にふけるような女子。


重ため前髪にして、腰くらいまである

黒髪ロング。


つまり、何が言いたいのかと言うと。

マヒロは昔、超絶地味女子だったんだ。


それが、高校デビューをしちまって、

現在の姿になってる。


俺は幼馴染のマヒロとたまに一緒に帰ることがあるが、男子や女子によく絡まれた。

と言っても揶揄いの類いの範疇でそんなに

害はない。殆どがわざと聞こえるような声で言ってくるこんな言葉。


「変な組み合わせだな。

ま、彼氏彼女じゃねぇことだけは確かだな」


「ギャルと陰キャww友達だとしても、マジ受けるんだけど!」


「ごめん、シンジ。嫌な想いさせて」


こんなことがある度に、マヒロが俺に小声で言った。


俺は決まってこう答える。


「別に。俺はそんな気にしない」


「私がこんな派手派手なカッコ、してるせいで

笑われちゃってさ」


「言いたいやつには言わせとけばいいのさ」


「うん、そうだね」


こんな、他人想いな優しいマヒロが金髪ギャルをやってるのには訳があった。


マヒロ曰く。


「小学校と中学時代、よく根暗や地味や陰気くさいって男子や女子に揶揄われてきたから、

高校入ったら、見た目を変えて、そんなん

言われなくするんだ!!」


確かに。

高校入学後。

マヒロはインキャやら地味な女などとは周囲に

言われてない。


だがな。


その弊害とて、エロっちい身体付きのせいで超絶ビッチ女などと形容されちまってる。


俺は、これ、非常に由々しき事態だと思ってた。

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