α4360
旭 東麻
α4360
その日、国一番の研究所が、一人と一体によって破壊された。
盛大に音を立てて崩れ落ちる研究所を後に、ジープが飛び出す。乗っているのは天才研究者、
月見里博士の荒い運転で、ジープの中は激しく揺れる。
「博士!コノ運転の荒さ、どうにかならないのデスカ!?」
金属製の頭を何度もぶつけながら、四三郎が不満げに言った。
「そんなこと言ってもねえ、四三郎くん!今すぐ爆風と警察から逃げないといけない訳で!」
「腐っても天才ナラ、そこまでちゃんと計算に入れておいてくださいヨ!」
「一度してみたかったんだよ、こういうの!」
「アナタの趣味にワタシを巻き込むな!」
爆風のせいか、はたまたジープのせいか、荒野に盛大に砂煙が巻き起こっている。もくもくと煙を上げる研究所からは、鳴り響く警報の音。そしてジープを追いかける3台の警察車両。月見里博士の改造ジープに追いつく速さで追いかけてくる。
「ちょっと、追いつかれますヨ!もっとスピード上げてクダサイ!」
「これ以上上げるともっと荒くなるけど大丈夫!?」
「捕まりそうダって時につべこべ言ってられないデショ!ワタシも牽制しますカラ、早く!」
「お願い!あー、こっちに不利にならない程度で!」
「分かってますヨ!」
身をひねり、四三郎は窓から右腕を伸ばした。白い腕をバズーカに変形させ、後方を狙う。
「待て待て!4番でぶっ飛ばすの!?不利にならない程度って言ったじゃん!」
「不利にはなりませんヨ!そこの崖に、ぶつけてやるだけデス!」
「それもダメじゃない!?」
「潰されてモ関係ナイ!」
「そんな恐ろしい子に育てた覚えはありません!」
「育てられた覚えもないですヨ!」
狙いを定めると、バズーカに青い光が溜まっていく。満タンになったところで、四三郎はそれを自分たちには当たらない距離の崖に、打ち込んだ。崖が音を立てて崩れ落ち、警察車両の前に大きな岩がいくつも転がり落ちた。急ブレーキの音が聞こえる。
「ひえ〜!当たるっ、当たるっ!」
「アナタと違って計算してますので、大丈夫デス。」
「怖いもんは怖いって!」
「文句言ってる暇あっタラ、さっさと逃げますヨ!」
ジープは猛スピードで走り去ったのだった。
***
なぜ月見里博士と四三郎は研究所を破壊したのか。
そもそも彼女たちに研究所を爆破しようという意図はなかったのだ。ただ、研究していた薬品が爆発し、それが次々と誘爆していっただけで。月見里博士の研究室には爆発物が非常に多かったのだ。結果的に、研究所自体も爆発し、ジープで逃げたせいで追われることになってしまった。
「今日の占い最下位だったからかなあ。」
「占いのせいにしナイ!」
α4360 旭 東麻 @touko64022
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます