7曲目 ハヌマーン「リボルバー」

 夏の兆しが感じられる清々しい向夏の折、皆様におかれましてはご健勝のことと拝察いたします。(急にどうした?)


 今回紹介したいバンドはハヌマーンです。


山田亮一 ボーカル、ギター

大久保恵理 ベース

青木繁之 ドラム


 さて、何を書きましょうかね……ハヌマーンについて語ると「とにかくめちゃくちゃすごいんだ」以外の感想がなくなってしまうんですよ。「語彙力が消える」というやつです。

 なので今回は箇条書きでいきます。


・俺が特に好きな曲は「バクのコックさん」「ドランキン・スノーマン」「反撃開始」「若者のすべて」「トラベルプランナー」「中村君」そして「リボルバー」です。


・youtubeに公式の動画と呼べるものがスペースシャワーTVの

「Fever Believer Feedback」

https://www.youtube.com/watch?v=ULmw3v2T4j0


しかないんですよね。でもこれってハヌマーンに広告収入入るんか?とりあえず、俺の好みとは少しズレますが、すべてがハイレベルな名曲なんで聴いてみて下さい。特にドラムの人がヤバい。


・「ドランキン・スノーマン」を初めて聴いた時、「こんな美しい曲が存在していいんか?エエッ!?」と逆に憤りすら覚えました。尊い……(オタク死語)


・「バクのコックさん」を聴くときはできるだけ時間帯は夜で、不安な精神状態の時がいいです。というかハヌマーンの曲全部そうかもしれません。


・「反撃開始」のAメロヤバない?


・「若者のすべて」(フジファブリックの曲ではないです)暗い事をめっちゃ明るく歌った、希望の歌です。


・他にもまだまだ名曲があるんで聴いて下さい。ただもう10年前に解散してしまったんですね。CDはもう入手困難かな。推しは推せる時に推せ(オタク格言)………と思っていたらSpotifyやApple Musicをはじめとするサブスクリプション型ストリーミングサービスで聴けるそうです。やったぜ。


・ちなみに元ギターボーカルの山田さんは現在「バズマザーズ」というバンドをやっています。BLANKEY JET CITY寄りのバンドで、俺の好みからは少しズレるのですが、いいバンドなんで聴いて下さい。「スクールカースト」「仮想現実のマリア」がいいと思います。


 さて、本題の「リボルバー」についての話に移ります。

 この曲は、ハヌマーンにしては珍しい十代から二十代前半の若者へのストレートなメッセージソングです。前半では、その年代のハヌマーンを聴くような若者の怒りやニヒリズムやペシミズムを、山田さんはたしなめます。その手の言説の底にある、「現実世界への恐怖と諦観」を理解した上で、理由を説明して、「どうかしている、度を越している」と言い切ります。

 そして、後半では、前半で言ったことを踏まえた上で、「共犯者になってやる」と宣言します。だから「行け」と。

 世の中自分を「善意の第三者」だと思っており、そのくせ他人に意見を押し付けたがる人が本当に多いです。そういう人は意見の問題点を突き付けられたり、責任の所在を問われるとすぐキレます。怒ったからキレるというより、その人の中で処理できないからキレます。自分が「善意の第三者」だという前提が崩れるからですね。山田さんが言い出した「共犯者」というポジションはその対極に位置します。

 この歌、「リボルバー」が心にあり続ける限りは、楽しい事も悲しい事も、「リボルバー」が一緒に感じてくれるのだと思います。もう恐怖はともかく、諦観はありません。「共犯者」がいつも一緒にいるのですから。


『夜のなかを歩みとおすときに助けになるものは、橋でも翼でもなくて友の足音だ』────ヴァルター・ベンヤミン


 蛇足ですが、最後の合唱の部分まさに蛇足だと俺は最近まで思っていたんですね。中盤の歌詞をよくよく見たら「ああ、これの事か、じゃあ要るわ」となりました。詳しくはぜひご自身でお確かめ下さい。

 次回はハヌマーンに多大な影響を受けたバンド、フィッシュライフ「フェアリーテイルイントロダクション」を紹介します。

 爽やかな初夏のみぎり、皆様のますますのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。失礼いたします。(だから急にどうした?)

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