第6話 調達依頼

「経過はどうなの?」

「無事標的に接触、奴の自宅に招かれるようになりましたよ。」

「あら、流石ね。で、どのようにヤるのかしら?」

「それなんですが、どうやるのが不自然ではないかと考えております。」

「そうねぇ・・・」


 三枝がグラスを揺らす。角をとった氷が大きく動く。しばらく百面相しているかと思いきやふと顔を上げ、口角を上げる。


「そういえば一木、あんた確かチベット医術齧っていたわね?」

「ええ、それがなにか?」

「なにかおもしろい薬とか秘孔とかないの?」

「そんな便利なものではありませんが・・・。ふむ、そうですね。」

「なにか用意するものあるかしら?」


 いくつか薬草を書き綴る。だいたい国内で手にはいるが、こいつだけは難しい。


「あら知らない名前ね。」

「チベット秘伝の薬草です。今回の仕事でターゲットに飲ませます。」

「毒殺ねぇ。あんまり私の趣味じゃないけど。まぁいいわ。で、こんなに必要なの?」


 連日飲ませる必要があることを説明する。あまり目だった動きをしてサツに動かれても厄介なのでなるべく自然な感じでやらねばならないことも説明する。あまり納得はしてもらえないようだったが、調達してきてくれるようだ。

 

「ねぇ、ギムレットってあるかしら?」

「もちろん有りますよ。」

「じゃあ、私と貴方の分を。」

「私の分も・・・ですか?」

「ええ、『また明日』ってことで。」

「標準的なレシピで?」

「もちろん、『本当の』作り方よ。」


 『本当の』ギムレットを二人であける。一蓮托生と言うことか、友人とみてもらっていると言うことだろうか。誰も居なくなった店で物思いに夜が更けていく。

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