第5話 接触
依頼人の裏取りがとれたので、標的について調べをいれる。ドラッグはだいたいどこのヤクザでも扱っているものだが、大体は元締めになるだけで姿は見せない。実際に扱っているところが見つかれば警察に踏み込まれるからだ。
証拠品が燃えたことから潜伏場所を遷した可能性が高い。まずは標的の情報を整理する。
標的が所属する暴力団は
「ま、どんだけ慕われていてもヤクザでヤクの元締めしているんじゃぁなぁ。」
二ヶ月ほどの偵察で見えたのは週に一度マッサージに通っていること、愛人を囲っていること。直接取引に顔を出さないからか、ヤクを扱っている確証は得られなかった。
運良くマッサージ店では新規従業員募集していたため、店には簡単に潜り込むことができた。
「お、兄ちゃん新人か?」
「ええ、先週から入りました。」
「ほしたら今日は兄ちゃんにしてもらおか。」
「ありがとうございます。」
チベット潜入工作時に身に付けたチベット式按摩を炸裂させる。腰が少々悪いようだ。念入りに按摩していると気に入ったのかすっかり寝てしまった。
「おお、兄ちゃん、えらい上手いな!」
「以前、チベットの方に教えていただく機会がありましたので。」
「ほぉぉ。随分珍しいのぉ。あー、腰が楽になったわ。」
「随分と腰をお使いのようで。少し腎虚にもなっておりますね。」
「なんやそれ。」
「体内の水を動かす力が弱っているのです。」
「ほぉ。なにゃむずこいのぉ。せや!兄ちゃん、今後ウチによんでもええか?」
「もちろん、構いません。」
上機嫌の麻田が俺を呼んでくれることとなった。これで任務遂行がしやすく成る。どのように始末するか・・・クライアントに報告がてら話してみるか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます