第2話 ファーストコンタクト
昨晩はなかなかに愉しい時間であった。ただ愉しいだけ。この何物にも代えがたい宝物は維持するのが難しいからこそ輝くのだろう。
コンコン
「邪魔するよ。」
「いらっしゃいませ。」
妙齢の女性ではあるが身のこなしが堅気ではないことを認識させる。手近な椅子に腰をかける。
「ジャック・ローズを」
カシャカシャカシャ・・・
「お待たせしました。」
一口舐めるように含む。
「ふむ。うまい。」
「ありがとうございます。」
「まさかこんなところでバーを始めたなんてね。」
「・・・どこかでお目にかかりましたかな?」
「ふふふ。私はただの依頼人さ。」
「依頼ですか?」
「ふふっ。今日は挨拶に来ただけさね。」
「政府の人間が挨拶ね・・・。」
「本当さ。これからイロイロとお願いしたいことがあってね。バーテン君。これは気持ちだ。」
色気はないが分厚い封筒が置かれる。
「やれやれ。退役してしがないバーテンの俺に一体何をやらせようっていうのですか。」
「まあ『友愛の下に掃除』をね。」
「すべてを受ける気はありませんよ?気に入らない依頼は断っても良いのですか?」
「・・・まあいいさ。優秀だった貴官には期待しているよ。ではまたな。」
返事も聞かずに女が退店する。掃除・・・ね。一体何を掃除しようってんだか。まぁ楽しめそうなら受けるとするか。
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