第2章 回り始める歯車(1)
あの日から二週間がたつ。あいつに呼び出されて放課後に資料室へ向かった俺はとんでもないモノを見せられた。それは異能とでも呼ぶべきか。俺の言ったものを次々と無から作り出して見せたのだ。しかも少しすると跡形もなく消えてしまう。
確かにすごかったし未だに信じられないのも事実だ。だが問題はそこではない。せっかく思いを寄せる女の子に呼び出されたから覚悟を決めていったというのに―。そして気になることがもう一つ。あの日以来彼女は学校に来ていないのだ。特にこれといって連絡もなく、ただ時間がすぎるばかりだ。友達の俺にくらい連絡くれたっていいと思うのだが。
チャイムが鳴る。授業が始まるわけだが、当然俺がまともにそれを受けるはずがない。そっと右手をポケットに滑らせると、そこからスマホを取り出した。調べることはただ一つ、異能力についてだ。まぁ、ネットですぐヒットしていたらこんなに困ってないのだが。
「おいリク。お前このニュース見たか?」
俺は神城陸斗。ここ飯野高校の二年だ。みんなからはリクって呼ばれてる。そんで声を殺して話しかけてきたのが山岡浩二。目立つことばかりしているイメージがあるが、影が薄いときはとことん薄い。
「どのニュースだ?この、だけじゃなんも分かんねえって」
「ほら、これだよ。この連続殺人事件」
浩二はスマホを机に隠しながら見せてきた。その話か。その程度なら等の昔に調べつくしたわ。まあ、事件は異能力者によって起こされた、などと騒ぐ輩がいたもんで調べただけなのだが。
「これすごいぞ。犯人は異能力者だってよ。今度現場にいってみようぜ」
こいつも騒ぐバカの一人か。全くこの世にまともな人間ってもんはいないのか。ただ、ついこの前あいつから異能力を見せられている以上気にならないと言えばうそになる。
「そうか、それはすごいな」
俺は適当に流した。そうか、直接行くという手があったか。俺は心に決めた。今日の帰りにあいつの家に寄ろう。そうして明日からでも学校に来るように言おう。我ながら素晴らしい案だ。
残りの時間もネットで検索をかけたが結局何も見つからなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます