第59話 相合傘

曇り空

降ってきた大粒の雨

隣にいたあなたは大きめのビニール傘を

広げて私をいれてくれる


雨音にせかされるように

私は慌てて鞄の中を探す

──ない

折り畳み傘をいれ忘れているなんて

雨が降るまで気づきもしなかった


忘れたみたい


私の声に

あなたは笑って

私のそばに引き寄せる


音を立てて降り注ぐ雨

上を見るとあなたの顔と

傘のビニールの上に雨が踊って


かなり降ってきたなと言うあなたは

片手に傘もう片方の腕は私の肩を抱いて

濡れないように気をつけてくれて


あなたの体温

愛おしくてそっと寄り添う


雨の匂いの中

顔を見合わせて笑う

幸せな相合傘の中で

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