第39話 ひとひらのはなびら

薄紅のはなびらは春の風に吹かれ飛ぶ

ふわりと舞い上がり舞い落ちる


地には散りばめられたはなびら

花から落ちて地を埋めるように咲くように


風は時に強く弱く吹いては

はなびらを舞わせ


私はただその光景を見つめる


その時風に誘われて

元ある花からふらり離れて

はなびらのひとひらが

そっと掌にひととき乗ってふわりと旅立つ

どこへいってしまうのか──


捕まえてしまえばよかったのか

離さないでおけばよかったのか

そうすれば留めておけたのか


はなびらは地に落ちてしまった

地に咲いたたくさんのはなびらの中

私の掌にのった

ひとひらの薄紅色のはなびらよ

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