第34話 白の花

雨上がりの朝のひととき

私の目をひいたのは

地に咲く一輪の白い花


小さな白いつりがねの花は

うつむき下を向いたまま


その花びらの端を黄緑が

ぽつりぽつりと彩り


朝の日差し

小さな白いつぼみと

緑の葉が長く伸び 

雨の名残を残すままに


透明な涙のような滴を

その白いつりがねに


まだ冷たい初春の風に

草花は揺れて


つぅと滴は伝い落ちる

花は下を向いたまま

その花は静かに涙をこぼす


そっと手を伸べて

伝う滴を掌に受ける

ひとつぶ

私に涙をこぼした

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