第5話 春の訪れ
ゆるやかな坂道を
私はおりてゆく
時折吹く強く冷たい風が
正面から吹き付け
前へ歩き進む邪魔をする
道の周りの街路樹は
まだまだ硬い木の芽のままで
春の訪れを待っている
風に吹かれ揺れながら
ふと足を止め
空を見上げても
まだ春は遠く
つんと冷えた風が音を立てて
一層強く吹く
まだ先だと主張するように
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