第20話 女子二人 ぶっちゃける②

 ”契約”、もしくは”魔術師の契約”と呼ばれる。

 地球における、すべての魔法を使う人間は、この契約を結んでいる。


 細かい条項はいろいろあれど、一番大きい項目。


 ”魔術師は、それ以外の地球上の人間に魔法の存在を知られてはならない”


 そして、それを破った場合は・・

 魔術師本人も、魔法の存在を知った者も、最強の魔術師である”契約者”によって死を与えられる。


 つまり、”契約”を知っているのは魔術師だけのはずである。


 そして、地球上にいつ魔術師は、今や200人に満たない。

 藤島は、すべての魔術師の顔と名前は記憶しているはずなのであった。


 しかし、藤島にはエリザベスという魔術師は記憶にない。


「あなたは、魔術師ではないはず。それなのに”契約”を知っているとは・・どういうこと?」


 藤島は、ひそかに魔法を発動させる準備をしながら言った。


「あ・・わたしは地球の人間じゃないんで、ノーカンなんスよ」

 こともなげに言う。

「地球の人間じゃない?」

「そうなんス。もともと、この世界の人間っスから」

 言葉使いが・・・流暢になった。。と言えばいいのか・・

 プラチナブロンドの清楚な容姿に、全く似合わない。

「じゃ、どうして学校にいたのよ!」


 いつでも、魔法を発動する準備は整った。

 エリザベスを殺す気でいる。

 契約を守ること。それは絶対なのである。


「あぁ、うちの隊長がね。もともと、そっちの世界で魔術師やってたんっスよ。

 でもって、こっちの世界に勇者として召喚されたんっス。追放されたけど。

 勇者なのに、追放されるなんて馬鹿っスよね~。

 そんでもって、農家をやってるんスけどね。どうせならに農業を学ぶために留学しろって言われて、異世界・・・あ、地球ね。あっちに留学したんっス」


 田舎娘っぽい話し方ではある。


「隊長って誰よ」

「八代 ケンって言うんスけど、知ってます?」

「あぁ・・・」


 有名も有名。

 若いが、優秀な魔術師だ。

 しばらく、音信不通とは聞いていたが。

 

「ということは、日本に帰る方法があるってこと?」

「そうっすね」


 そう言って、地図を広げる。


「今、ここら辺と思うんっすけど・・・シャイン王国を通り抜けて。この辺境の皇国までいけば隊長がいるんで日本にけるっスよ」


 かなり遠い。

 大陸の端から端である。


「わかったわ。なんとしてでも、そこにたどり着いて日本に帰るわよ」

「へえ。ずいぶんやる気っスね。そんなに帰りたいんスか?」


「えぇ。絶対に土曜日までに帰らないといけないのよ!」

「土曜日になんかあるんスか?」


 藤島は両手のこぶしを握り締めて言った。


「推しのライブがあるのよ!!絶対に、ライブに間に合うように帰るわ!!」

「はぁ・・・推しって何スか・・・?」

「いいわ、教えてあげる!」


 それから、小1時間。

 推しについてエリザベスに熱狂的に語ったのであった。

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