積もり積もって十万字

「ラブコメ異能探偵……公募いってみるか?」


 私は液体琥珀を一息であおり、凝り固まった背筋を伸ばすべく両手の指を絡ませ天高く突き上げた。

 ボキン、パキン、と三角筋の奥で肩甲骨らしき骨が鳴った。

 

「……ないな」

 

 そもラブコメの知見が浅い。トリック考えるのダルい。

 しかし、まあ――。

 私はショットグラスに琥珀を注ぎ、


「書いたもんだよ」

 

 誰に言うでもなく呟いた。誰に言うでもなくだ。孤独死がチラつく。

 しかし。


「疲れた?」


 ハスキーな声に振り向くと、垂れ耳ロップイヤースタイルの真っ赤なバニーガールが締まった腰に片手を置き、網タイツに包まれた長く肉感的な御御足おみあしを惜しげもなくさらしていた。見たトコ、ヒール高は十五センチ。フローリングに傷がつかなければいいのだが。


「……想像上のイマジナリーバニーガールですか?」


 私が問うと、バニーガールはくすくす肩を揺らしてHカップ級の生白くふかふかしてそうな巨乳を震わせた。


「んなわけないでしょ」


 じゃあ誰よ。私は冷たい汗の背中バックドロップを感じつつ自分の頬を張った。

 バッチン! と鯛が図った俎板まないたからの投身自殺を思わせる弾性つよき水っぽい音がし、花火があがった。三尺の白色すだれ五連だった。

 バニーはすぐ横に女の子座りした。


「疲れた?」

「多少」

「じゃあ、おっぱい揉んどけ」


 バニーは私の手を豊かな双丘の北半球に押し当てた。パツンパツンというよりタパンタパンで、ふかふかよりふわふわで、みにょっと、かつ、むちゅっと吸いてくる乳だった。

 私は呆然と尋ねた。


「揉んでよろしいのですか?」

「もちろんです。パイ揉みは精神の安定と腱鞘炎の沈静化、肩こり改善、疲れ目、空咳、リウマチ、頭痛、寝不足、快眠、安眠、ベッドのブギーマン除霊、恐山のイタコに降りたアントワネット、世界平和に効きますから」

「温泉みたいですね」

「温泉にガンマ線は出せません」


 揉むとガンマ線がでるタイプかと思いつつ、私はいた。


「私はその可愛らしいケツをペチって揉みたいのですが」

「ケツペチ揉みの効能は――」

「効能の解説はいいです」

「パイ先ケツ後ね?」


 そう言われ、私は二礼二拍手、おもむろにバニーパイを揉んだ。

 第二から四指は効能を得られそうだったが、親指と小指と手のひらはゴワっとした布とワイヤーの硬さを認識した。

 そりゃそうだ。

 バニーパイを支えてるんですもの。

 私は自分のパイを揉んでみた。柔こい。唇の端を吊り、言ってやった。


「私のパイのがデカいぜ」

「うるせえ、揉むぞ」


 がっつり揉まれた。

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