ほっこり読み味のダークファンタジー

 わるいくにのわるいおうさまのえらいひとエリシュラがはなったすごい魔法まほうが、つよいひとカラルの右太みぎふとももを穿うがち、鮮血せんけつ飛沫しぶかせた。

 こえにもならない苦悶くもんき、カラルははねをもがれたはえのようにった。けんにぎちからはなく、こころひびっていた。


「つよいひとカラル……おまえのつよいちからわれらがわるいくにのわるいおうさまもめておられたぞ? どうだ。なかよしになるはないか?」


 妖女ようじょ甘言かんげんがカラルのむねした。

 しかし、それでも、きしませてった。


「――ない。おれはな、あのおひめさまをグチャグチャによごしてやりたいだけだ。あの綺麗きれいかおゆがむところをたい。き、さけび、絶望ぜつぼうてにくる間際まぎわめ、てめえの正気しょうきにくふるええさせてえだけなんだよ!」

 

 カラルのくちはしからドスぐろいといてれた。そのうずくわるいつきはいいくにをたすけてあげるつよいひとのそれではない。凶獣きょうじゅうだ。

 エリシュラはぶつけられたなまのわるいかんじにドキドキし、ながしたくちびるめた。


からん。かがみがあればな……おまえのそのざまわれらとおなじ、わるいやつだ。いいくにのいいおひめさまをよごしたい? させてやるとっているんだ。おまえのやりたいように、えっちなことやばっちいことをするといい」

「やるさ。えっちなこともばっちいことも。汚辱おじょくまみれさせ永遠とわつづ悲鳴ひめいをあげさせてやる。だが――」


 カラルはつよくてきれいなけんつかにぎった。ホントにいいひとだけがあつかえるというむかしばなしつるぎは、つよいひとのわるいかんじにやられ、よじるようにかがやいた。


「だが、わるいくにのわるいおうさまとなかよしする必要ひつようはない。おれは、おれのこので、おひめさまにえっちでばっちいことをする」

「……なんたるわるいかんじ……つよいひととはおもえんな」


 エリシュラは酷薄こくはくわらう。


「だが、どうする。このわたしのすごい魔法まほう対抗たいこうできるのか?」

「やるさ。手前てめぇをくびころしてやる」

「まだからんか……」


 エリシュラはくびった。


「なぜわたしのすごい魔法まほうがおまえあしつらぬけたと思う?」

「……なにいたい」

「いいくにのおひめさまは、もうわれらわるいくにのえらいひとたちにばっちくされたのさ」

「――なに!?」

当然とうぜんだろう。さらってなにもしないはずがない。みんなでよってたかって、えっちでばっちくして……いまみずからねだる有様ありさま……残念ざんねんだったな、よごせなくて」


 妖女ようじょ言葉ことばに、カラルのこころくだけた――が。

 かれ下腹かふくをおっきくしてんでいた。


前戯ぜんぎはもうませてくれたってわけだ」


 ひとかたちをしたが、けんかまえた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る