神話

 カラス朝 オタくにヤサシ・ギャル族 創世記


第一章 一節~


 はじめに神はオタクと名乗った。


 女王カラスは闇のエルフであり、女帝ニンフェは光のエルフであった。


 オタクは「汝ら、ギャルであれ」と言われた。我らはギャルとなった。


 オタクは我らギャルの言葉を聞き、「我らを捨てよ。あーし、うち、あたしを使え」と言われた。あーしらは我らを捨て、カラスの子らはあーしを、ニンフェの子らはうちを、他の者らとその子らはあたしを選んだ。


 オタクはあーしらを黒ギャルと名付け、ニンフェとその子らを白ギャルと、他の者らとその子らをギャルとした。山、谷、森はあーしらと白ギャル、ギャルで満ちた。


 オタクはまた言われた。「髪に色をつけ、肌を塗り、金銀の装身具を飾り、手首には環やシュシュを巻き、上衣は素肌や下着がかすかに透けるものを着、下衣には着丈拳二つ分以下のものを履き、日によって長短の靴下を使い分け、ギャルの靴たるローファーは踵を踏み潰したりしなかったりせよ」


 オタクは三種の学校をつくり、あーしら、白ギャル、ギャルらを住まわせた。オタクもあーしらや白ギャル、ギャルとともに暮らした。


 オタクは「黒ギャル、白ギャル、ギャルはオタクに優しくならねばならない」と定めた。


二章 一節~


 オタクは「黒ギャル、白ギャル、ギャルはときにオタクを優しくいじめ、からかい、手や足を押し付けたり、触れそうで触れなかったり、かと思ったら突然に密着したり、とうとつに甘言を聞かせたり、一緒に川に釣りに行き、山では同じテントで寝起きしてドキドキするか口頭で確認し、鼻先が擦り合う距離で話し合い、耳に息を吹きかけたりしつつ、自身の食べかけの食物を分け与え、なにを恥ずかしがっているのかと問うたり、そんな反応されたら照れてくるじゃんと赤面し、そのさまを別の者がからかい、やきもちを焼いて急なアプローチをしたりせよ」と言われた。


 オタクは黒ギャル、白ギャル、ギャルがオタクを呼ぶときは君づけとし、「やさしーじゃん、かわいーじゃん、かっこいーじゃん」などの聖句を唱えてから話しかけよと言われた。


 オタクは「黒ギャル、白ギャル、ギャルらはオタク以外を愛してはならぬ」と定めて、身も心もオタクに捧げ、オタクを深く愛し、オタクを甘やかし、オタクの浮気は許して自身は絶対に浮気せず、他の男を見たらすぐにオタクの方が良いと唱え、またオタクを……


 現存しているのは、ここまでである。

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