第22話 リリムさんとの特訓が始まった

 目が覚めると、目の前に昨日見た天井が見える。

 どうやら、俺は倒れた後、自分の部屋に運び込まれたようだ。

 まだ全身が痛いな・・・やっぱり無茶しすぎたか。

 俺があの時はなった魔法、あれは、初めて使った魔法だった。

 使えるかもしれないとは前々から思っていたけど、ぶっつけ本番で使えるとは・・・

 それにしても、俺の魔法をかき消したミュウさんの【感情魔法】とかリリムさんの【剣魔法】、あれはいったい何の魔法なんだろう。


 そんな風に考えていると、リリムさんとミュウさんが部屋に駆け込んできた。


「レイさん、体調は大丈夫ですか?」

「レイ、体調は大丈夫?」

「ええ、まあ一応。・・・ちょっと無茶しちゃいました」

「よかったです」

「それならよかった」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


 3人の間にしばらくの間、沈黙が走る。


「あのっ、この部屋にはいったい誰が運んでくれたんですか?」

「フランですよ」

「あっ、そうなんですか。じゃあ、あとでフランにお礼を言っときます」

「はい!ぜひそうしてあげてください。」

「それと、ずっと気になっていたんですけど、リリムさんとミュウさんの使ってたあの魔法って何なんですか?」

「ああ、それはね、スキルと同じように、その人に突然現れる個性魔法よ」

「ミュウは、16歳の時に、私は、18歳の時に不老のスキルと一緒に発現したんですよ」

「なるほど、そんな魔法があるんですね」


 ・・・これは厄介だな、果たして3年後にはこれを攻略できるようになっているのだろうか。

 リリムさんは本気じゃなかっただろうし、ミュウさんも力の底が見えない。

 それに、個性魔法の発現は本当にランダムみたいだ。


「レイ、私からも聞きたいことがあるんだけどいいかしら」


 多分クロノと俺の関係についてだろう。

 ふたりにはもう簡単に話しているし教えても大丈夫だよね。


「いいですよ。何でも聞いてください」

「そう?じゃあ、単刀直入に聞くわ。レイ、あなたはいったい何者なの?」

「俺は・・・」


 俺は、ここに転移してきてからいろいろな人に出会ったことや、クロノと本契約をしたことなど、包み隠さず話した。

 ミュウさんとリリムさんは最初のほうは、俺の話に驚いていたけど、途中から静かに話を聞いてくれた。


「っと、大体はこんな感じですね」

「そうなの、そんなことが・・・」

「レイさんも大変だったんですね」


「そういえば、ミュウさんはどうしてここに?」

「ああ、ちょっと野暮用があってね・・・」

「あっ、そうなんですか」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


 本日2度目の沈黙が俺たちを襲う。


「じゃあ、私は用も済んだことだし、帰るわね。レイ、また会いましょう」


 そう言うと、ミュウさんはどこかへ行ってしまった。

 部屋には、俺とリリムさんの二人きりだ。

 すごく気まずい・・・

 そんな空気に耐えかねたのか、リリムさんが話し出した。


「今日、レイさんに決闘を挑んだのは、私がレイさんと単純に戦いたかったって言う理由もあったんですけど、本当は別の目的がありました」

「別の目的?」

「はい。レイさんの実力を測ることです。私は、クロノスタス様に裏の大会までの一か月間、レイさんの面倒を見てほしいというお願いだけでなく、レイさんに武術を教えてほしいと、お願いされてました」

「えっ、クロノが?」

「はい」


 やっぱりクロノはいつでも俺に何かを与えてくれる。

 いつか何かお礼がしたいな。

 俺は、クロノのことをより一層好きになった。


「それで、今日の決闘でレイさんが実力不足だったら、教えないつもりだったんですよ」


 あの戦いの裏でそんなことがあったとは・・・

 全然気づかなかったー。


「でも、レイさんは私の予想をはるかに超えました。私に、奥義を使わせた人はまだ数えるほどしかいません。にもかかわらず、レイさんは私に奥義を使わせました」

「えっと、じゃあ、合格ってことでいいんですか?」

「はい!それはもちろん。明日から、特訓を開始しますよ!」

「はい!よろしくお願いします。リリムさん!」

「ええ、こちらこそよろしくお願いします」


 その後、リリムさんは部屋を出ていった。

 俺はまた布団に入る。


「レイさんよろしいですか」

「あっ、はい!」

「失礼します。夕飯をお持ちしました」


 え・・・もうそんな時間だったの。


「フラン、朝は俺を運んでくれてありがとう」

「いえいえ、メイドですので、レイ様が倒れた時に運ぶのは当然のことです」

「ところで、俺ってどれくらい寝ていたんだ?」

「だいたい、10時間ぐらいですかね?」

「フラン、もしかして10時間ずっと俺の看病をしてくれていたのか?」

「はい、もちろん」

「!?」


 俺は、ふざけるときはふざけるけど、根はしっかりしているメイドの評価を改めた。


「さあレイ様、明日からはリリム様との特訓があるんですから、早くご飯を食べて寝てください」


 フランは、俺に雑炊のようなものを差し出した。

 しんどい時にこれはありがたい。

 消化もいいだろうし、、、フランは本当に俺のことをよく考えてくれているな。


「ごちそうさま、フラン。とてもおいしかったよ」

「はい。もう寝ますか?」

「うん、そうするよ」


 俺はまだ体がだるいので早めに寝ることにした。

 何より明日からは、リリムさんとの訓練だしね。


「じゃあおやすみ、フラン」

「私も一緒に寝たほうがいいですか?」

「いやっ、台無しだよ!」

「そうですか、ではまた明日」


 そう言って、フランは俺の部屋を出ていった。

 あのメイドはどうして、最後にやっちゃうんだよ。


 ・・・・・・


 そして、俺は眠りについた。


 神谷レイのステータス


 年齢      16歳


 レベル     1


 称号      転移者、セレの祝福、限界突破、無睡眠者、魔法を超越し者、時空の大精霊の契約者


 スキル     言語理解(精霊)、無詠唱魔法、鑑定、多重魔法、魔力限界突破、不老16、複合魔法(魔法を複合して発動させることが出来る。いくつ複合させれるかは使用者の魔力量に依存する。)、身体強化(体全体に魔力をまとわせることで発動する。身体能力や体の強度が向上する。その上り幅は使用者の魔力量に依存する)


 魔法      世界魔法

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