第20話 フランは駄メイドだった
「レイ様。ご飯の時間ですよ。ダイニングルームでリリムさんがお待ちしております」
「ん、もうそんな時間か。フラン、起こしてくれてありがとう!」
「いえ、これもメイドの責務ですので」
俺は、フランにお礼を言ってから起き上がった。
「ではついてきてください。ダイニングルームまで案内します」
「うん。分かったよ」
俺はフランの後をついていき、ダイニングルームに向かう。
するとそこには、俺が今まで見たこともないような料理がたくさん並べられていた。
うわっ、、、何この料理。
どれもめっちゃおいしそう……
「レイさん、おはようございます」
「あっ、リリムさんおはようございます」
「じゃあ、レイさんはとりあえずそこの席に座ってください」
「はい」
「ではレイ様、私はまた後で。リリム様、失礼します」
「うん、ありがとう」
「はい。フランもレイさんを案内してくれてありがとうございました」
フランはダイニングルームを出ていき、その場には俺とリリムさんの二人だけになった。
リリムさんと二人きりって、緊張するかなーって思ったけど、案外大丈夫なもんだな……
まあ多分俺が、クロノとか、ホイップさんやシャルルさんとも一緒に過ごしたことがあるからだろうけど……
「ではレイさん!一緒に食べましょう」
「あっそうですね!じゃあ、いただきまーす!」
俺はとりあえず目の前に置いてある天ぷらみたいなものを食べた。
これ、、、外はサクッとしていて中はホロホロの魚の切り身のような感じでめっちゃおいしいー
この料理にはクロノの作ってくれた料理とはまた別の種類のおいしさがある。
俺は手当たり次第にほかの料理も食べ進めた。
「レイさんどうですか?お口に会いますか?」
「めっちゃおいしいですよ!どれも初めて食べるのでとても新鮮で楽しいです!」
「それはよかったです!」
それから俺とリリムさんは、特に中身のない話をしながらご飯を食べた。
「リリムさん。ごちそうさまでした。どれもとてもおいしかったです!」
「それはよかったです。・・・レイさん、明日は私との決闘ですよ。覚えてますか?」
「覚えてますよ。楽しみですね!」
「はいっ!では私はこれで失礼します。もう夜も遅いのでレイさんもなるべく早く寝てくださいね」
「はい!」
「レイさん、おやすみなさい」
「リリムさん、おやすみなさい」
そう言って、リリムさんはダイニングルームから出ていった。
そしてその数分後、フランがダイニングルームに入ってくる。
「レイ様、お部屋に戻られますか?」
「ああ!明日は、リリムさんと決闘だし、今日はもう寝るよ」
「かしこまりました。ではまた明日の朝、起こしにまいりますね」
「うん!ありがとう!」
「・・・レイ様、私の体はいつでも空いてますよ。もし眠れなかったらいつでもどうぞ」
「いやどうぞって……使わねーよ」
俺はフランに反射的にツッコミを入れる。
「あっ、、、なるほど。そうですか、私を油断させてから襲う作戦でしたか。そういう作戦なら私は早いこと部屋に戻りますね」
フランはそう言い残して、ダイニングルームを出ていった。
「あっ、おいっ。ちょっと待て、駄メイド・・・」
あいつ言うだけ言って出ていきやがった。
少しはましになったと思った俺が間違っていたよ…
俺は、それから自分の部屋に戻り、布団に入った。
・・・あー、今日もいろんなことがあったな。
明日は、リリムさんと決闘だし、少し、早いけど今日はもう寝るか。
そして俺はそのまま眠りについた。
・・・・・・
「レイ様。朝ですよ」
「うん?もうそんな時間か?」
「はい」
いやにフランの声が近く聞こえるな。
まさかな、そんなことさすがのフランでもしないよな・・・
俺は嫌な予想をしながら、ゆっくりと目を開ける。
すると、俺の目の前でフランが寝ていた。
はっ?なんでフランが俺の隣で寝ているの!?
「フラン…」
「はい?」
「なんで俺の隣で寝ているんだ?」
「・・・なんとなく?」
「いや、なんとなくじゃねーよ!とりあえず、俺の布団から出ろ!」
「はい、かしこまりました」
あーもう、朝からこのメイドはなんてことしてくれるんだよ!
本当に心臓に悪い・・・
「フラン、今から服を着替えるから出ていってくれ」
「・・・?」
「そんな、なぜ?みたいな顔されても・・・とりあえず出ていってくれ」
「かしこまりました」
俺は、フランが部屋から出ていったのを確認してから、服を着替えた。
これは昨日クロノと買った時のやつだ。
俺は、着替えが終わって部屋の外に出た。
「あっ、終わりましたか?」
「うん」
「では今から、この屋敷の庭に案内しますね」
「庭?なんで?」
「リリム様がそこでお待ちですので、」
「あっ、そうなんだ。じゃあ、案内して!」
「はい。こちらです」
俺がフランに案内されて庭に出ると、そこにはリリムさんが立っていた。
「あっ、レイさん遅いですよ」
「ごめん、着替えに手間取って…」
「あっ、そうなんですか。じゃあ、始めますか?」
「リリムさん、少し聞いておきたいんですけど、ここって本気出しても大丈夫なんですか?」
「大丈夫ですよ。何重にも保護結界を張ってあるので」
「了解です。俺はいつでもいいですよ!」
「じゃあ、始めましょうか」
リリムさんがその言葉を言い終わると同時に、リリムさんの身に纏う魔力量が格段に上がった。
俺も自分の実力を測れるいい機会だし、本気で行くか。
「では行きますよ」
「いつでもどうぞ」
次の瞬間俺の体は吹き飛ばされていた。
なっ、、、!?速すぎる、、、攻撃は【魔力眼】でギリギリ見えるけど体が反応できない。
そんなの少し考えてみればわかるぐらい当たり前のことだ。
なぜなら俺は、魔法に関しては一流でも身体能力に関してはごみ同然なのだから。
だけど、もし身体能力が魔力眼と同じように、魔力を集中させた場所の能力が上がるのだとしたら・・・
俺はそんなふうに考え、全身に魔力を集中させる。
イメージは時の森で修行をした時の感じ。
次のリリムさんのパンチは……見えるぞ。
俺は紙一重で、リリムさんの攻撃を躱した。
リリムさんは体勢を崩し、驚いた顔をしている。
狙うなら今だ!
全力で俺の攻撃を叩き込む。
〈【炎魔法霊級】紅蓮〉
俺は、炎魔法の中でもっとも速く威力の高い魔法を放った。
しかし、リリムさんはそれを見て、にこりと笑う。
すると次の瞬間、俺の背中から嫌な冷や汗が流れ出した。
身体中が警戒音を発しているような感じだ。
俺は、リリムさんの笑顔から何かを感じとり、すぐさまリリムさんから距離をとる。
「【剣魔法】忘却の剣」
リリムさんが何かの魔法を使うと、俺の魔法がかき消された。
さらには、俺がさっきまで立っていた地面までえぐられている。
あそこにいたままだったら危なかっただろう・・・
「レイさん、ここからが本番ですよ。【剣魔法】剣撃の舞」
俺の頭上にたくさんの剣が現れた。
「まじかよ、、、この数の攻撃を捌かないといけないのか」
俺は頭上に浮かぶ無数の剣を見て、そっとつぶやいた。
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