第19話 リリムさんの家って
「レイ君!次はあそこのお店に行こうよ!」
俺は今クロノと服が売っているところを回っている。
「うん!これとかすごく似合うと思うよ!」
「そう?じゃあこれにするよ!」
「店員さーん!これくださいー」
「クロノ、さすがにデートだし俺が払うよ。さっきの朝ごはん食べたところでもクロノが払ったでしょ?」
「ん?なんで?別に僕、たくさんお金持っているから大丈夫だよ!」
「いや、、、男の意地っていうものが・・・」
「でもレイ君お金持ってないよね?」
「あっ、、、ほんとだ」
「はい!今日は僕が払っておくよ。また次のデートの時はレイ君が払ってくれたらいいじゃん!」
「じゃあ、今日はお金系は全部任せるよ」
「うん!」
かっこいいところを見せようと思ったのに……
俺は、しばらくの間羞恥心に晒された。
現実世界で見たことのあった、彼女におごられる彼氏ってこういう気持ちなんだ・・・
「レイ君、すごく似合っててかっこいいよ!」
「ありがとうクロノ!」
「うん!」
俺はその後もクロノとデートを続けた。
しかし、楽しい時間はすぐに過ぎ去っていくもので・・・気付けば辺りは暗くなっていた。
「レイ君いつの間にかもうこんな時間だね」
「ああ!今日はめっちゃ楽しかったな」
「うん!特に、僕はレイ君と一緒に飲んだスタージュースが印象に残っているよ!」
「アッ、ウン。ソウダネ」
それは……すごく恥ずかしいことだから思い出させないでほしい。
「ところで、これから、時の森に戻るのか?」
「あっ……そのことで話があるんだ」
「うん?」
「実は、これから裏の大会の最終準備があるから僕は時の森に戻れないんだよね」
「そうなんだ、じゃあ、またホイップさんたちといればいいのか?」
「いや、ホイップたちも裏の大会に向けて調整しないといけないだろうから、レイ君には僕の人族の友達の家に泊まってもらおうと思うんだ」
「うん?別にいいよ!」
「本当?よかったー!断られたらどうしようかと思ったよ」
「いや、断ることはないけど、そのクロノの友人ってどんな人なんだ?」
「うん?レイ君も知っている人だと思うよ!」
ん?待てよ、、、俺の知っている人?
人族で知っている人って、一人しかいないと思うんだけど・・・
「ほら来たよ!リリムー、こっちだよー!」
「もう人使い荒いんですから」
「ごめんごめん、じゃあレイ君紹介するね。この子がリリム・ルビーだよ!」
「レイさん、私は、リリム・ルビーです。一応、人族の第一王女です。以後お見知りおきを」
「あっ、どうも。俺は神谷レイです。今日からお世話になります!」
「二人とも自己紹介は終わったね!じゃあ僕はそろそろ行くよ!」
『【精霊魔法時空】空間転移』
クロノはどこかへ行ってしまった。
俺とリリムさんは二人きりでその場に取り残された状態になった。
「じゃあ、レイさん行きますか?」
「はい」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
会話が続かない・・・なんか気まずい。
そこで、俺はリリムさんの隣を歩きながら、疑問に思っていることを聞くことにした。
「リリムさんは普段どこに住んでいるんですか?」
「あそこのお城ですよ」
「えっ?もしかして今お城に向かってます?」
「そうですよ。言ってませんでした?」
「えっ、全然聞いてませんでした・・・お城ってどんな感じで過ごしたらいいんですか?」
「別に普通に過ごしたらいいですよ。ちょっと家が大きくなったと思えばいいです!」
リリムさんはニコッと笑った。
いやっ、そんな笑顔で言われても……
「ところで、リリムさんは裏の大会の調整みたいなのはしないでいいんですか?」
「はい。大丈夫ですよ。調整をしても、負けるものは負けますからね」
「なるほど、」
「それよりレイさんばっかり質問しているので今度は私から聞きますね」
「はい!なんでもいいですよ!」
「じゃあ、レイさんはどうしてそんなにたくさんの魔力を持っているんですか?」
「あーそれはですね。時の森っていう場所でずっと修行してたからですよ」
「えっ、」
俺の言葉を聞いて、リリムさんは硬直してしまった。
「えっと、リリムさん大丈夫ですか?」
「あっ、大丈夫ですよ。それよりレイさんってずっと時の森に中にいれるんですか?」
「まあ、一応……」
リリムさんはそれを聞いて何か思うところがあったのか、黙ってしまった。
そして、しばらく経ってから口を開いた。
「レイさん、今日は疲れていると思うのでいいですけど、明日私と戦いません?」
「え、?俺がですか?」
「はい!ダメですか?」
「いや、迷惑じゃなければ、ぜひお願いします」
俺は、今の自分の実力が測れるいい機会だろうと思って、勝負を受けることにした。
あー、明日が楽しみだなー。
でもそんなふうに思うって・・・もしかして、俺って戦闘狂なのかな?
「レイさん、着きましたよ!ここがこれからレイさんが1ヶ月間泊まるお城です」
目の前に大きなお城が建っている。
え、、、俺本当にここに泊まるの?
「じゃあ、レイさんの部屋はここです。何か用があったらメイドに言ってもらえたら、大丈夫だと思いますよ。夕飯のこととか詳しいことは、メイドさんに聞いてください」
俺は城に入ってから、流されるままに歩き、自分の部屋までたどりついた。
「あの、レイ様。私はあなたの担当をするフランシスカです。フランとお呼びください」
「ああ!俺は神谷レイです。フラン、これからよろしくね!」
「はい。夕飯の時間などの情報から、夜のお世話まで何でも命令されたらしますよ」
「っ、、!?いやしないから!」
このメイド、かわいい顔して何言ってるんだ?
俺と大して年も変わらなさそうなのに。
「えっと、フランは何歳なの?」
「女性に年齢を聞くのですね。いくらレイ様の命令でもお答えしかねます。秘密です。ですが、これだけは答えておきましょう。まだ未経験ですよ」
「そ、そうなのか。」
俺は墓穴を掘ってしまったことを深く後悔した。
でも、なんとなく、フランとは仲良くやっていける気がする。
「フラン、夕飯の時間まで寝たいから、ご飯の時間になったら起こしてくれ」
「・・・・・・」
「ん?そんな顔してどうした?」
「私も一緒に寝るのですか?」
「いやいやいや、どういう流れでそうなったの!一人で寝るから!!!」
「かしこまりました。では時間になったら起こします」
本当にこのメイドは・・・
俺は【無睡眠者】という称号があるのにもかかわらず、昨夜のクロノの精神攻撃とデートの疲れで夢の世界へ落ちていった。
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