第17話 本契約

〈ねえレイ君、明日僕と人界でデートしない?〉

〈うん!もちろんいいよ……ってええーーーー!?そんな、どうして急に?〉

〈本当はレイ君の誕生日に行くつもりだったんだけど、そういえばレイ君の誕生日って、裏の大会の日と被ってるんだよね〉

〈あー、そうなの?でも今の俺では、人界で一緒にデートできないだろ?〉

〈ん?どうして?〉

〈いや、だって今の俺の身長だったら、クロノをエスコートすることができないよ〉

〈あー、そういうことね。あのね、レイ君。そのことで話があるからとりあえず僕の予約した宿に行かない?〉

〈えっ?宿なんて予約してたの?〉

〈うん!じゃあ行くよ。・・・【精霊魔法時空】空間転移〉


 驚き、目を見開く俺の手を取り、クロノは魔法を行使した。

 目の前のの景色がグワンっと入れ替わる。

 すると次の瞬間、俺の目の前に、すごく大きな建物が出現していた。


〈ねえクロノ、〉

〈ん?〉

〈もしかしてここに泊まるの?〉

〈そうだよ!〉

〈・・・部屋とかは?〉

〈もちろん同じ部屋だよ!〉


 やばい……今日は寝れないかもしれない……


〈じゃあ中に入るよ、レイ君〉

〈うん〉


 それから俺とクロノはチェックインを済ませて、部屋の中に入った。

 部屋の中もすごく広い。

 なんだか、リゾートホテルみたいだなー

 そんな風に思っていると、クロノが俺の方をまじめな顔で見ていた。


〈クロノ?〉

〈よしっ。レイ君、今から僕と本契約しない?〉

〈えっ?〉

〈だから、レイ君には僕と本契約しても大丈夫なくらい魔力があるから、本契約しよう!〉


 何を言うかと思ったら、、、本契約?

 どうして今なんだろう?


〈えっと、どうして今なんだクロノ?〉

〈それは、、、僕と本契約したら、一回だけ【精霊魔法時空】身体成長っていう魔法が使えるからっていうのと、僕が今したいからだよ!〉

〈・・・【精霊魔法時空】身体成長?ってどんな魔法なんだ?〉

〈本契約したときに一度だけ使える、身体を自分の好きな年齢まで成長させられるっていう魔法だよ〉

〈じゃあ、今から本契約の魔法で俺を成長させて、明日デートするってことか?〉

〈そうだよ!〉


 確かにこの方法を使えば、明日クロノとデートができる。

 でもその場合俺は老いるのが早くなる。

 そうしたら、この世界を統一する頃にはおじいちゃんになっているかもしれないしな・・・

 俺が決断できずに、迷っていると、


〈レイ君、僕と本契約したら、【不老】っていうスキルがつくから、老いの心配はしなくていいよ〉

〈そうなのか?〉

〈うん〉


 俺の悩みが秒で吹き飛んだ。


〈じゃあ、クロノ本契約をさせてくれ!〉

〈うん!じゃあレイ君、【精霊魔法時空】身体成長を使うけど何歳がいい?〉


 やっぱり現実世界でも16歳だったし16歳でいいよな…


〈16歳でお願いクロノ!〉

〈うん分かった!じゃあ始めるよ。ちゃんと集中していてね〉


『我今この時をもって神谷レイと契約を結ぶ。悠久の時を共に過ごし、お互い寄り添い合って時を刻んでいくことを誓う。世界という名の空間よ、我は今より神谷レイを我が主と盟約する……


 クロノが詠唱を始めると、クロノの体全体から魔力が出てクロノのもとへと集まっていく。

 逆に俺の体にはクロノの魔力が入り込んでくる。


 すごい濃い魔力だ……


 クロノの魔力が入ってくるのに合わせて、俺の体も大きくなっていく。


 これがクロノの言ってた本契約したときに一度だけ使える魔法か……


 ・・・今後神谷レイが【精霊魔法時空】を使うことを許可する。我が名はクロノスタス』


 クロノの詠唱が終わると同時に魔力供給も終わり、俺の体の成長も止まった。

 そして、服はセレが与えてくれたものだからか、体が大きくなるのに伴って大きくなっていた。


 よかったー。もし破れちゃったら裸になっちゃうからな……


 俺はそのことをそっと安堵した。


〈ふうー。疲れたー〉

「お疲れ様クロノ」

「あれっ?レイ君しゃべれるようになってるじゃん。それに、身長もすごい伸びたね」

「あっ、ほんとだ!じゃあ、これからは口でしゃべることにするよ」

「うん!それより、レイ君。今日はもう疲れたから一緒に寝ない?」

「あ、、、うん」


 ……完全に忘れてたー


 思考が急激に加速していき……俺の頭はショートした。


 そのため、俺はそれから何も考えることなくクロノと一つのベッドに入った。

 クロノが俺を抱きしめる。


「ふぁーー、レイ君。おやすみ。明日のデート楽しみだね!」

「うん、おやすみクロノ」



 しばらくして、俺の頭が復活してくると、途端に隣にいるクロノのことを意識せずにはいられなくなった。

 クロノは可愛く小さい手を俺の腹のあたりに回している。

 好きな女の子にそんなことをされて嬉しくないわけがなかった。

 俺は必死に暴走しそうになる本能を押さえつける。

 そして思った……


 はぁー、今夜は眠れそうにないな。



 ・・・・・・


「おはよう!レイ君。今日はデート楽しみだね!」

「おはようクロノ」


 俺は昨晩、眠らないで過ごした。

 だって、クロノと一緒に寝るのめっちゃ緊張したし・・・


「じゃあ、クロノ出かけようか」

「うん!じゃあ、レイ君しっかり僕につかまってね!【精霊魔法時空】空間転移」


 あたりの景色が切り替わって、街みたいな場所に変わった。


「レイ君、人界の街のことよく知っている?」

「いや知らないよ」

「へへー、じゃあ今日は僕がエスコートするね」


 クロノはそう言って小さい手を差し出してくる。

 俺がその手を握りかえすと、俺の手にすっぽりとクロノの手はおさまってしまった。


「えへへー。じゃあ、まずは朝ご飯だね!レイ君は何か食べたいものとかある?」

「いや、特にはないかなー」

「じゃあ、あそこの店に行こうよ!」

「うん!」


 そんなこんなで俺とクロノのデートが始まった。



 神谷レイのステータス


 年齢      16歳


 レベル     1


 称号      転移者、セレの祝福、限界突破、無睡眠者、魔法を超越し者、時空の大精霊の契約者


 スキル     言語理解(精霊)、無詠唱魔法、鑑定、多重魔法、魔力限界突破、不老16


 魔法      世界魔法

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