第14話 ミュウ・クリスタル

「ねぇ、あなた、さっき魔法撃ったでしょ」


 俺はさっき助けたフードを被った女の子から話しかけられる。


 …どうして気づいたんだろ。

 詠唱もしてないし、男たちにすぐに当たるように調節したから、ばれるはずがないと思うんだけど・・・


 俺は返答しようにもまだ喋ることができないため、ダンマリと口を閉ざしているしかなかった。


「あー、あなたしゃべれないのね。じゃあこれならしゃべれる?」


〈心に話しかけるから聞こえたら返事して〉


 さすがに、ここまでされて無視してたら後が怖いので、俺は返事をすることにした。


〈聞こえますよ〉

〈あー聞こえるのね。・・・私の名前は、ミュウ・クリスタルよ。さっきの魔法あなたが撃ったものでしょ?〉


 あれミュウってどこかで聞いたことある名前だな。

 どこで聞いたんだろう、思い出せないな。


 それよりなんで、今の魔法を俺が撃ったってわかったんだろう?


 とりあえず、鎌をかけてるだけかもしれないし、ごまかすか。


〈神谷レイです。魔法って何のことですか?〉

〈そう、レイね。レイ、とぼけても無駄よ。私のスキルの【魔力感知】にひっかかったのはあなただけだったもの。もう一度聞くわ、さっきの魔法を撃ったのはあなたでしょ?〉


 えっ、、、何そのスキル、嘘ついてるの一発でばれるじゃん。

 俺はこれ以上ごまかしても、意味がないと思い、素直に認めることにした。


〈えーっと、はい。変な男たち絡まれてて大変そうだと思ったので、俺が撃ちました。なんかごめんなさい〉

〈やっぱりそうなのね。別に謝ることじゃないけど、でもあなたまだそんなに体がちっちゃいのによくあんな魔法撃てたわね〉

〈まあ、少しだけ特訓したので…それより、ミュウ・クリスタルさんはどうして男たちに絡まれてても平気そうだったんですか?〉

〈ミュウでいいわよ。そりゃあだって、私これでも強いほうだし〉


 なぜか、ミュウさんは自信満々な顔をしている。


〈えっでも、自分より相手の方が強いかもしれないじゃないですか〉

〈ははは、レイが心配してくれるのもわかるけど、これでも一応裏ランキングで1位を取っているのよ〉


〈・・・・・・〉


 えっ、この人が俺が3年後には倒さないといけない人なのか。

 そこまで強くなさそうだな。

 もしかしたらいける?かもしれない…

 でも、こんな人もバアルさん達を倒してるんだよな、、、

 俺は頭の中でさまざまな思いを巡らせた。


〈レイ、思いが顔に出てるわよ。もう少し、隠してほしかっわ。まあ、私の強さは、いつか戦う時が来たら分かるんじゃない?それはそうとレイ、何その馬鹿げた魔力量、、、私の1.5倍ぐらいあるわね。これでも私魔力量が多い自信あったのに…〉


〈ちょっと、いろいろあって、それよりミュウさんはどうしてこんな大会を見に来たんですか?〉


〈そりゃあ、もちろん人族最強のリリムを見るためよ〉

〈えっでも、さっき、ミュウさんが裏ランキング1位って言いませんでした?〉

〈言ったわよ〉

〈それじゃあ、〈あのね、レイは何か勘違いしてるかもしれないけど、私人族じゃないわよ。一応魔族よ〉


 俺が言いかけていた言葉を遮りミュウさんは言った。


 あっ、そういえば、前クロノが魔族の姫ミュウが何たらかんたら言ってたな。


〈でも、リリムさん?は本気を出せないんですよね〉

〈よく知ってるわね、リリムのこと好きなの?〉

〈いえ、ちょっと知り合いから聞いたことがあって、〉

〈へぇー、今のレイと話せる人なんているんだ?〉

〈まぁ、一応、〉


 クロノのこと言っていいか分からないし、一応ごまかしておいた方がいいよな…


〈ふーん。まぁ、そういうことにしておいてあげるわ!、、、ところで、レイは裏の大会に出ようと思ってるの?〉

〈3年後には出ようと思ってますけど、どうしてですか?〉

〈ちょっと、レイと戦ってみたいなーって思ってね、じゃあ、3年後楽しみにしてるわよ!〉

〈はい、、、〉


 頭の中に何かが走る。

 もしかして俺、なんか厄介なのに目をつけられたかも…

 これは、修行に手を抜けなくなったぞ…


〈レイ、そろそろ試合が始まるわ、よければ一緒に見ない?〉

〈ぜひ!一緒に見ましょう〉


 そう俺が言うと、ミュウさんが俺の隣に腰掛けてきた。

 横から、ミュウさんの横顔が見える。

 、、、やばい、、、めっちゃ可愛い、、、

 でも俺にはクロノっていう心に決めた人がいるし…


〈ん?どうかした?〉

〈いえ何でもないです!〉


 俺が一人でうなっているのを見て、ミュウさんは首を傾げている。

 やっぱり俺って顔に出やすいのかな…




 そんな変な空気の中、表のランキングの試合が始まった。




 ミュウ・クリスタルのステータス



 年齢    20


 レベル   478   


 称号    王位魔族、???・・・   


 スキル   不老16(発現したときから肉体は年を取らない・・・不老のスキルの後に書いてある数字が発現した時の年齢である)、???・・・ 


 魔法    ???・・・




 神谷零のステータス(詳細)


 魔力量    3600000


 ミュウ・クリスタルのステータス(詳細)


 魔力量    2350000

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