第13話 時の森の外へ

〈レイ君、おはよう!昨日はよく眠れた?〉

〈う、、うん〉


 俺は昨日寝れていないことを、クロノに隠した。


〈そう、それはよかったよ!〉

〈レイ君はまた今日から修行あるもんね?〉


 あー、そうだったー。完全に忘れてたー。



 ・・・


 しばらくして、俺がクロノの作ったご飯を食べ終えると、タイミングを見計らったかのように、シャルルさんとホイップさんがやってきた。


〈レイ、今からスキルを覚えに行く〉

〈分かりました。じゃあ、クロノ、行ってくるよ〉

〈うん!行ってらっしゃいレイ君!それと、シャルルとホイップも無理はしちゃダメだよ!〉

〈わ、分かってる、クロノスタス様〉


 ・・・




〈シャルルさん、ホイップさん今日からはどんなスキルを覚えるんですか?〉

〈今日はですね、【魔力眼】っていうスキルですよ〉

〈それって何の効果があるんですか?〉

〈簡単に言うと、目に魔力を集めて、動体視力など、目の働きを高めるっていうスキルですね〉

〈レイ、表の大会見に行くんでしょ。じゃあこのスキルは覚えていたほうがいい〉

〈そうなんですか?でもそのスキルって、30日以内に覚えられるんですか?〉

〈普通の人は無理。でも、レイの馬鹿みたいに多い魔力量と魔法のセンスがあったらギリ間に合うと思う〉

〈その代わり、今日からめっちゃ頑張らないとダメですけどね〉

〈分かりました。改めて今日からよろしくお願いします〉

〈うんよろしく〉

〈はい。よろしくお願いします〉


 俺はその日からシャルルさんとホイップさんの言う通りに修行をした。

 すると、10日目には森の遠くのほうまで見ることができるようになり、20日目には、二人の速い動きがゆっくりと見えるようになる。

 そして、25日目には、【魔力眼】を習得することができた。


〈レイ本当にすごい。この短い期間で、【魔力眼】を習得するなんて。さすが私の弟子〉


 いや、いつから俺はあんたの弟子になったんだよ…


〈レイさん本当に、すごいですよ!これで、5日後の大会は安心して見れますね〉

〈シャルルさんとホイップさんの教え方がうまかったからですよ。本当にありがとうございました〉

〈じゃあそろそろ、クロノスタス様のところに戻ろう。早く戻らないと、また怒られる〉

〈そうですね。じゃあレイさんしっかりつかまっててください〉


 俺はホイップさんに担がれて、クロノの所に帰った。


〈クロノ、ただいま!〉

〈お帰りレイ君!帰ってきたばっかりで悪いんだけど、すぐに、表の大会の会場に行く準備をしてくれる?〉

〈クロノ、そんなに急いでどうしたの?〉

〈レイ君忘れたの?ここは時の森だよ。だからここを出たら、表の大会はあと30分ぐらいで始まっちゃうよ〉


 俺はクロノのその言葉を聞いてハッとする。

 そうか。そういえば、ここって時の森だったな。


〈さぁ、レイ君準備できたね。じゃあ行くよ!〉

〈【精霊魔法時空】空間転移〉


 音のなかった森からだんだん、歓声が上がっている闘技場みたいな場所に、俺の周りの景色が変わっていく。


 ここが外の世界か、、、

 俺は異世界に転移して初めて時の森以外の場所に来た。

 なんだか新鮮な感じがするな。


〈レイ君着いたよ!ここが表の大会が行われる闘技場コロッセオだよ〉

〈すっごい大きい場所なんだな!〉

〈そりゃそうだよ!今日ここでたくさんの人が戦うんだから〉

〈その試合って、クロノも一緒に見れるのか?〉

〈うーん。レイ君一人だと危ないから出来たら一緒に見たいんだけど、僕外じゃちょっと有名で目立つから一緒に見れないんだよね〉

〈そうなのか〉

〈ごめんね。じゃあこれどうぞ!〉


 そう言ってクロノは俺にイヤリングのようなものを渡してくる。

 俺はそれを耳につけながら聞いた。


〈これは?〉

〈それは、連絡用の魔道具だよ。帰りたくなったらそれで僕に連絡して。そうしたら、僕がすぐに迎えに行くから!〉

〈うん!分かったよ!〉

〈じゃあ、そろそろ行くね。楽しんで!〉

〈うん!じゃあまた、〉


 クロノはそう言うとどこかへ行ってしまった。




 そうこうしているうちに、試合開始10分前になっている。

 俺は慌てて席についた。

 すると、前方からうるさい声が聞こえてきた。


「おいっ、ここは俺たちの席だ!譲らねえと顔面が黒焦げになるぞ!」

「・・・・・・」


 フードを被った女の子が乱暴そうな男たち3人に絡まれている。

 どの世界にもこういうやつはいるんだな。

 やっぱり見ちゃったし助けたほうがいいよな。


〈・・・【炎魔法下級】ファイアーバレット×3〉


 俺は男たちに向かって無詠唱で魔法を放つ。

 すると、男たちはその魔法に見事当たり「やばい!燃え死ぬー」などと低俗なことを言いながらその場を去っていった。

 周りにいる人達は何が起こったのかを理解できず、ポカンとしている。


 ・・・ふぅー、何とかばれずに追い払えてよかったー

 俺はため息をつく。


「ねえ、あなた、・・・」


 っと、安心したのもつかの間、俺は突然、さっきのフードを被った女の子に話しかけられた。




 神谷レイのステータス


 年齢      2歳


 レベル     1


 称号      転移者、セレの祝福、限界突破、無睡眠者、魔法を超越し者


 スキル     言語理解(精霊)、無詠唱魔法、鑑定、多重魔法、魔力限界突破、魔力眼(魔力を目に集中させると動体視力などの目の機能が向上する。ただし、機能の上がり幅は使用者の魔力量によって変化する。)


 魔法      世界魔法(炎魔法下級、炎魔法中級、炎魔法上級、炎魔法絶級、炎魔法霊級、水魔法下級、水魔法中級、水魔法上級、水魔法絶級、水魔法霊級、風魔法下級、風魔法中級、風魔法上級、風魔法絶級、風魔法霊級、土魔法下級、土魔法中級、土魔法上級、土魔法絶級、土魔法霊級)

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