第11話 魔法完全習得
〈レイ、そろそろ起きて〉
〈もう少しだけ寝させてくれ〉
〈起きないと、ファイアーボール撃つよ?〉
〈はいっ?起きます!起きます!〉
〈おはよう、レイ〉
〈ああ、おはようございます。シャルルさん。俺どれくらい寝てました?〉
〈3時間くらい?〉
シャルルさんはきょとんとした顔で俺を見ている。
ていうか、俺全然寝てないじゃん…
〈今日からは、【炎魔法中級】を無詠唱で使える修行をする。レイ、ちょっと自分のステータス見てみて〉
〈はい、分かりました〉
・・・えっ?なんか色々増えてない?
何この【無睡眠者】って…
これ、ブラック企業で働く人が知ったら、きっと欲しがるだろうな。
それに、俺が完全取得した【炎魔法下級】とか【無詠唱魔法】とかも表示されてる。
〈どうだった?〉
〈なんか色々増えてました〉
〈【炎魔法下級】とか書いてない?〉
〈書いてますよ〉
〈それが、完全取得したっていう証拠。これからレイには、この世界にある魔法を全部覚えてもらう〉
えっ待って、俺の聞き間違いだよね…今全部って聞こえたんだけど…
しかしそういう時の嫌な予感は大抵当たっているものである。
〈えっとー、俺の聞き間違いですよね〉
〈何が?〉
〈さっき、この世界にある魔法を全部覚えるてきなこと言いました?〉
〈言ったよ?これから一緒に頑張ろう〉
シャルルさんは無常にも俺の方に手を置いた。
神様、俺の命、もう長くないかもしれないです。
その頃、神界では、、、
「今、何か嫌な予感がしたのは気のせいですかね?それにしてもレイさんから、連絡ぜんぜんこないですね。寂しいものです」
セレーネは一人そうつぶやいたのであった。
〈とは言ったんだけど、どれだけ魔法を覚えても、それを使えないと意味ないから、これからレイには、ホイップの作った、空間で魔法を試し撃ちしてもらう。・・・ホイップ、もういける?〉
〈いけますよシャルル、レイさんこっちに来てください〉
俺はシャルルさんに持ち上げられて、その場所まで連れていかれる。
するとそこには、ただ広い空間が広がっていた。
〈レイ、今から【炎魔法下級】を全部撃ってみて〉
〈分かりました。〉
俺は今覚えている魔法をすべて撃った。
それなのに、あたりの地面には焦げ目一つついていなかった。
結構自信あったんだけどな…
〈レイ、驚きすぎ。ホイップが3年間かけて作ったんだから壊れるわけがない〉
〈そうですよレイさん、私が本気で作ったんだから壊れるわけないじゃないですか〉
なんだろう、この妙な説得力は…
〈じゃあレイ、これからは私とホイップの二人でレイの修行をする。あらためて、よろしく〉
〈レイさん、よろしくお願いしますね〉
俺は、その二人の顔を見て、冷や汗が流れた。
本当に俺は生きていけるんだろうか・・・
それから、俺は魔法を覚えたら使う、という一連の動作を眠らずに、何年もひたすらに繰り返した。
・・・・・・
そうこうしているうちに、だいたい200年ぐらい、正確には197年が経った。
俺はいつも通り、覚えた魔法をホイップさんが作った空間に撃つ。
〈【土魔法霊級】
俺が、詠唱せずに心の中で唱えて魔法を発動すると、空間内のあたり一帯が吹き飛んだ。
ホイップさんが焦りながらまた空間を修正している。
もう何度、ホイップさんが空間を修理する光景を見ただろう。
なんかもう見慣れたなー。
シャルルさんは、俺が空間を破壊した当初は驚いていたのに、今はうなずいているし。
〈レイ、これでこの世界にある魔法は全部教えた。本当によく頑張った。お疲れ様〉
〈レイさん、本当にお疲れさまでした〉
そう言って、ホイップさんはギュってしてくる。
・・・やばい。やわらかい…理性飛びそう。
それに、シャルルさんは、頭なでなでしてくれてるし。
修行の疲れがなかったら最高なんだろうけど、疲れてて頭が働かない。
〈レイ、今日は休んでいいけど、明日からはスキルを覚えてもらう〉
〈ずっと気になってたんですけど、スキルってなんなんですか?〉
〈うまく説明するのは難しけど、私やホイップが使える【鑑定】とかはスキルだよ〉
〈ようは、レイさんがいま身に着けた魔法とはまた別の魔法ってことですよ〉
〈それはどうやって、覚えればいいんですか?〉
〈簡単だよ。【鑑定】だったら1000種類の物を見れば覚えられる〉
〈つまりは、ある一定の条件を満たしたら覚えられるってことですよ〉
〈じゃあ、この世界にある全部のスキルを学べるんですか?〉
〈そういうわけではない。【不老】とか努力だけでは覚えられないのもある〉
なるほど確かに、【不老】とかが条件でゲットできたら大変なことになるもんな…
〈だから、レイさんには、優先順位の高いスキルだけを覚えてもらいます〉
〈はい、分かりました〉
そうして俺は魔法の修行を終え、スキルを覚える修行に転換していったのである。
その日、197年ぶりに俺は眠った。修行による精神的な疲れをいやすために、、、
あー、クロノ早く帰ってこないかなー。
俺は、気づかないうちに、クロノがいない日常を寂しく思っていたのだった。
・・・・・・
それから、3年間俺はひたすら物を見たり、魔法を使ったりして、条件を達成させ3つのスキルを覚えた。
〈レイ、今日で修行を始めてぴったり200年目。本当によく頑張った。お疲れ様〉
〈レイさん、私たちの厳しい修行についてきてくれてありがとうございました。これから大変なことがあったらいつでも私たちを頼ってくださいね〉
〈シャルルさん、ホイップさん、200年間本当にありがとうございました。正直、大変なことばかりで、二人のことをずっと鬼教官って思ってたんですけど、一緒に修行している時は楽しかったので、よかったです!〉
俺は、自然と心の中でそんなふうに思ってしまった。
しかし気づいた時には、時すでに遅しであった。
〈レイ、言ってなかったけど、あと50年間は私たちと一緒に修行だよ?〉
〈レイさん、鬼なんて言いました?〉
シャルルさんとホイップさんが笑顔で迫ってくる。
背中から冷や汗が流れる。
やってしまったー…
〈あの、シャルルさん、ホイップさん?もちろん冗談ですよ〉
〈ホイップ、レイがなんか言ってる〉
〈えっ、私には聞こえませんね。とりあえず、二人で、こちょばしますか〉
〈賛成〉
〈あの、ちょ、ちょっと、、、、ごめんなさい。本当にごめんなさい。〉
二人が俺をこちょばしてくる。
やばい本当におなか苦しい。
誰か助けて・・・
俺の声にもならない叫び声が辺り一帯にこだまする。
その時だ。
クロノが大精霊会議から帰ってきた。
〈たっだいまー、レイ君帰ってきたよー!、、、って何してるの?〉
クロノが呆れた目をしてこっちを見ている。
やばい俺、クロノになんて説明しよう。。。
神谷零のステータス
年齢 2歳
レベル 1
称号 転移者、セレの祝福、限界突破、無睡眠者、魔法を超越し者(この世界に存在するすべての魔法を取得したら獲得できる称号)
スキル 言語理解(精霊)、無詠唱魔法、鑑定(相手のステータスや物の価値など、対象の情報を見ることができる。なおこのスキルは自分の魔力量より低い魔力量を持った相手の情報のみを見ることができる。)、多重魔法(一度に複数の魔法を使える。ただし、重複させられる魔法の数は使用者の魔力量によって変わる。)、魔力限界突破(10分間だけ自分の使える魔力量を10倍にできる。ただし、このスキルを使うと、しばらく動けなくなる。)
魔法
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