第37話 「不在問題」の、恐ろしさ。「持ち帰り荷物を置く場所が、ない…!」事務所のスペースは、再配達する予定の他の物で、埋まっている。

 「オカムラから、伝言だ…」

 「え?」

 「ヤマシタには、悪いことをした。ヤマシタも、良い奴だったとわかってきたよ、だってさ。タカクラさん?」

 プッ…。

 通話が、途絶えた。

 「おい、おい…」

 1時間ほど、後。

 配達元から、電話が入った。

 「タカクラドライバー、ですね?」

 「あ、はい…」

 「個人事業主仲間のイケダさんが、亡くなったのですよ。それについて、何か知っていることは、ありませんか?」

 「何ですって?」

 その件以降、その電話の相手、謎の事業者たちは、批判にさらされることとなった。

 罰金制度の見直しも、はじまった。が、実際には、見直しをされただけ。

 ドライバーたちは、怒った。

 「俺たちが、会社の責任を、負うのか?」

 「人権無視だ!」

 「労働者いじめだ!」

 「俺たちドライバーの命は、荷物より、軽いのか?」

 個人事業主の怒りが収まらないままだと、運送業界全体が、痛手。

 「これでは、ドライバーに、逃げられる」

 「ドライバー不足に、はまるぞ!」

 「疲れたり、きつい仕事はやってくれない世代も、いるっていうのに!」

 「僕たち、疲れる仕事なんかやりたくないよ、か?」

 「それだ!」

 これじゃあ、ドライバーは、集まらない。

 そこに、物流の新しい課題が生まれた。

 「不在問題」

 通販になると、利用客の多くは、シングル(単身者)。あるいは、共働きの夫婦。

 日中に在宅している場合が、少ない。

 「配達先に、誰も、いない」

 「持ち帰った荷物は、どこに置いておけば良い?」

 事務所のスペースは、翌日や翌々日に再配達する予定の物で、埋まっている。

 「置く場所が、ないぞ…?」

 もたもたしていれば、新たに入ってくる配達物への対応にも、遅れてしまう。

 どうする?

 「あれ…?」

 気付けば、再配達の指定日時には、ある、ばらつきがあった。

 このばらつきを改善していけば、良いのだが?






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