第32話 「一緒に、乱れてみます?」女性に、脱がされはじめた。またか?股(また)なのか?「脱げたら、先に、入っていてくださいね…」ちょ…。

 「うう…」

 ツバキの頭が、くらっと、震えた。

 「今度は、何に、します?」

 「またか!」

 「本当のお望みは、何なのですか?」

 「…」

 「良いのよ?」

 彼女の白衣姿が、ツバキのポッカリ空いた心を、埋めていく。ジグソーパズルの、エッチなかけらのように、

 「お客様?」

 「はい」

 「今度は、イケダで、いかがでしょう?」

 イケダも、講師仲間の名前だが?

 ショーウィンドウの1つを、指した。

 「イケダのスマホ、どうですか?」

 「う…」

 「あら、お客様?汗が、出ちゃっていますよ?汗を流しに、いきましょう」

 「…」

 「恥ずかしがらなくて、良いんですよ?」

 「…そんな」

 「さっきの続きを、楽しみましょうよ」

 「風呂、か?」

 「ああ…お客様?」

 この店は、住居もかねているのか?

 「お客様?ここで、脱いでくださいな」

 「あの…」

 「ごめんなさいね?うちには、2階が、ないんですよ」

 「いや…。そういうことを聞きたいんじゃあ、なくって…」

 女性に手を引かれ、木造建築の廊下を、進んでいった。その、廊下の一角で…。目の前に、何かを、発見。

 「かご、だな。木で編んだ、レトロな、入れ物だ」

 それは、まるで、野菜の収穫かごのようにも見えた。

 「あの…、これ」

 「お客様、驚きました?」

 「…」

 「これは、脱衣かごですよ?」

 「脱衣かご…乱れ箱ともいった、あの、箱か」

 「お客様?」

 「はい」

 「乱れ箱は、男と女が乱れるから、乱れ箱だと思っている人も多いのではないかと、思いますが…」

 「違うんですか?」

 「乱れとは、着物の柄の、あの、流れる川のような模様のことを、いいます」

 「あ、そうなんですか?」

 「私たち…」

 「はい?」

 「一緒に、乱れてみます?」

 はあ?

 「お客様って、元気…」

 女性に、下着を、脱がされはじめた。

 ワイシャツや、ズボンだけでなく…。

 「脱げたら、先に、入っていてくださいね…」

 ちょ…。ちょ、ちょ。





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