第25話 「私、こういうの、はじめてなの…」化粧の施された、彼女は…。成人式にいった子の、話です。変な想像を、してたでしょ?残念でした。

 団らんでは、ADHDの話も、盛り上がった。

 ADHDとは、注意欠陥多動性障害のことだ。多動で不注意、衝動性が強く残る障害。

「多動」

 …動きが、多くなる性質。

 うろうろ。

 ちょっと目を離せば、どこかにいってしまう。集中ができず、すぐ、他のことに興味が移ってしまう。

 「不注意」

 …整理整頓がままならず、片付けに集中できなくなる性質。

 散らかした上に、後日、どこに散らかしたのかもわからなくなってしまう。結局は、探し物ばかりするようになる。

 良くいえば、物事を気にしない。

 おおらかな性格。

 「衝動性」

 …思い立ったら、すぐに行動。

 ADHDは、実行力が強いのが、良いところ。

 あれこれ考えるよりも、まずは、実行!

 坂本龍馬といった偉人も、ADHD障害をもっていたといわれた。

 ADHDの人は、他にも…。

 エジソン。

 アインシュタイン。

 レオナルド・ダ・ビンチ。

 ガリレオ・ガリレイ。

 織田信長…。

 「私、はじめて」

 「え?」

 「こうやってきれいになれたの、はじめて…」

 若い子の言葉が、クマダには、忘れられなかった。

 こんな、積極的な子も。

 「ねえ?」

 「何だい?」

 「成人式に、つれていって」

 せがまれたクマダは、彼女を連れて、振り袖の写真撮影会へと向かった。

 「きれいだ」

 「私、はじめて…」

 化粧の施された彼女の姿は、陽の光だった。

 「思い出すなあ…」

 クマダも、成人式にいった。

 当時、高価なスーツは買えず。レンタル品を、用意した。靴は、スニーカーでいき、小学校時代の同級生らに、笑われた。

 「クマダ…。貧乏くさいな」

 「俺らから、離れてくれ」

 「一緒だと、恥ずかしい」

 忘れられない、言葉。

 「こいつめ…!」

 クマダは、怪力で、小学校時代のクラス写真に、卒業アルバムを、引きちぎった。

 「同窓会終い」

 「年賀状終い」

 「墓終い」

 連絡のイベントも、いろいろ。





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