第23話 「スクショ年賀状」って、どうですか?「じゃあ、固定電話は?」「固定の電話って、何?」「…」「メン、ドウ、コテー!」「負けました」

 「あ、そうだ」

 「先生、何?」

 「固定電話のほうに連絡するのは、勘弁してくれよ?帰りは、遅い時間になっちゃっているはずだから。確認が、遅れる」

 「固定?電話に、固定ってのあった?」

 「…」

 「固定の電話って、何?」

 「固定は、固定」

 「コテ、コテ。メン、ドウ、コテー!」

 「負けました」

 「じゃあね、クマダ先生?バイバイ!」

 クマダは、暗い道を、歩いていた。

 インターネットや携帯電話に代表されるようなコミュニケーションツールの発達で、クマダはなお、人とのつながり方がわからなくなってきていた。

 連絡って、何?

 気持ちを伝えるって、何?

 もともと、社会のイベント状況を他人に知らせるためには、手紙などの方法がとられていたものだ。

 クマダも、子どものころ、何枚ものはがきを書いて投函したものだ。

 連絡って、いろいろ。

 年賀状を、スクリーンショットという画面保存の送信機能を使って送ることもあり。

 「スクショ年賀状」

 不意義な、感覚。

 年賀状離れは、人を守る法施行が関わって加速していった。痛い現実。

 メールやSNSの普及に、個人情報保護法の施行もあって、学校や職場では、連絡網や名簿、卒業文集まで作られなくなってきた。

 年賀状離れ、どうなる?

 2009年ころからは、相手の住所や名前、ペンネームレベルであろうとも、メルアドがわかれば、年賀状が送れるサービスが、登場してきた。

 「閉会することで生まれ変われる文化も、あるにはあるがな」

 皆が集まって、新しい文化を支えられたのなら、面白そう。

 「人が一緒になって生きることは、楽しいし、美しい。皆で、団らんを、囲むような感じに近いな。そういえば、団らん文化って、今、どうなっているんだ?」

 社会は、変わった。

 「団らん?それって、何?」

 そんな声だって、フツーに、なってきたような?






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る