第7話 「お客様って、かわいいんですね」「え?」「あん♡」「え?」「お客様は…、私を、注文されたじゃないですか?」目の前が、ピンクに輝きだした。

 「スナガ…!」

 またまた、塾の講師仲間たちの顔が、浮かんできた。

 「タツミ先輩に、ヤマシタ、クマダ、タナカ、オオウチヤマ、スナガ、タカクラ、イケダ、ヨシユキ、オカムラ、シンカイたち…」

 「あん」

 「ちょ」

 「お客様?元気を、出して」

 「あ…」

 「ううん…」

 「お客様は、かわいいんですね」

 「…あなた、だって」

 「そして、たくましい」

 「…そ、そんなところを!」

 「あ…」

 女性は、激しかった。

 「ああ…」

 ツバキの手をとって、自身の胸元に、たぐりよせた。

 「あ…」

 「あん」

 「ああ」

 「だって…」

 「だって、何です?」

 「お客様は…」

 「何です?」

 「お客様は、私を、注文されたじゃないですか」

 「…」

 目の前が、ピンクに、輝きだした。

 「…よう、ツバキ?」

 辞めた学習塾の庭に、立たされていた。

 「タ、タツミ先輩!」

 「よう、ツバキ」

 え、あれ…?

 「どうした、ツバキ?」

 「タツミ先輩…ウソだろう?美味〇んぼ?テレポーテーションなのか?」

 「お互い、仕事が、なくなってしまったなあ」

 「はい」

 「俺が、知り合いを、当たってみよう」

 親切な先輩、だった。

 その先輩の実家があったのが、関西地方の山側。先輩とは、正社員との差の話で、盛り上がってしまった。

 「正社員は、良いですよね」

 「泣くな、ツバキ」

 「先輩?」

 「何だ?」

 「正社員は、支店がなくなったら、本社勤務になるんですよね?」

 「だからお前は、うらやましいのか?」

 「はい」

 「そんなに、落ち込むな」

 「…」

 「ツバキ?」

 「はい?」

 「俺の実家のほうで、本格的に、仕事がありそうなんだよ」

 「本当ですか?」

 「ツバキ?」

 「はい」

 「関西に、こいよ」

 「その誘いのために、ここに、きてくれていたんですか?」

 「うーん…」

 「どうしたんです?」

 「実は、なあ…」

 「はい」

 「あの店に入ったら、こうなってしまったんだ」

 「…あの店?」

 「何でも、ない」

 





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